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第二話 クムール聖教国への返礼

 クムール聖教国から、送り込まれた聖教徒のアヘン密売人達には、自分達のしていることを、体験してもらうことにした。

 彼らに、アヘンを注射して、アヘン中毒者に仕立てたのだ。アヘンを欲しがる彼らに、クムール教の聖典の踏み絵を、強要したところ、あっさり踏みつけた。もう、正常な思考ではないのだろう。

 彼らに、成功報酬を、生涯のアヘンの供与を約束すると、俺の依頼を受けて、クムール聖教国に旅立った。


 俺の依頼とは、バビデ教皇の手足となっている者の暗殺。各自が1名、複数で人数分やっても構わないと告げた。

 教皇を目的としなかったのは、教皇を暗殺しても、代わりの者が教皇になるだけで、逆に国主を暗殺した恨みを買うだけだと思う。

 それよりも、潜入者の失敗を(さら)し、(おど)したほうがいいと判断したからだ。

 おそらく、成功の確率は1割程度、俺としては、暗殺に成功した者は、もうクムール聖教国に戻ることはできないだろうし、アヘン中毒を治して、一般領民か部下とするつもりだけど。

 


 クムール聖教国の首都にある、教会の一室で、死闘が行なわれていた。教会の司教オマールに、部下のナザレとマリアーヌが襲い掛かったのだ。

 音信が絶えてから久しく、不信を抱きながらも、司教オマールは、いつもより多い、護衛10名を配して、彼らを迎えた。

 二人から、潜入から酒場での捕縛までの経緯を聞き、捕まっていた牢屋から、マリアーヌが救出したのだと聞き、ようやく司教が納得した時、二人は突如として、護衛達に襲いかかり、あっという間に倒してしまった。

 最後に残された司教オマールは、なぜ裏切ったかを聞くが、それに答えることなく、二人に(あや)められた。


 同じ頃、首都の貴族の屋敷では、宰相のバシュクが、音もなく忍び寄る三人の襲撃を受けていた。

 毒の塗られたナイフで、傷を負わされ、宰相のバシュクは、あえない最後を遂げた。


 そして、バビデ教皇のいるモスクでは、教皇の側近護衛である二人に、襲い掛かった者がいた。護衛の一人は、交代で食事をしている時に、食事に盛られた(しび)れ薬で、倒れたところを毒の塗られたナイフでとどめを刺された。

 もう一人の護衛は、話しかけて来た、顔見知りに、警戒しているところを、毒矢で撃たれ、事切れた。


 こうして、教皇バビデの主要な4人の側近と、10名の暗殺者を葬り去ったのである。

 側近達への襲撃の報を聞いたバビデ教皇は、内情を知る国内の敵対者が、暗殺者を放ったものと思い、モスク内の警備を厳重にし、自身は地下室の奥深くに、身を隠してしまった。

 犯人が判明するまでと、言い残して。しかし、いつまで経っても、犯人の目星さえつかなかった。 



 一方俺は、もう一つの襲撃を行なっていた。ナザレ達から、司教オマール一派が、聖教国の北辺の海辺の土地で、アヘンを栽培していることを聞き出したからだ。

 ナザレの記憶を辿り、その地に転移した俺は、アヘンの保管場所、密売を行なっている者達を調べ上げ、全てが判明した時点で、パットンレンジャー部隊を引き連れ、アヘン製造の拠点を襲撃した。

 アヘンの密売に関わった者は、全員容赦なく殺害、教国のどこに居ようと、転移で掴まえて、殺害した。

 この国から、アヘン栽培の記憶を消し去り、二度と関与する者が出ないようにするためだ。

 アヘン保管場所と、栽培している畑は、焼き払い、海水を流し込んで、アヘンの種子が残っていても、育つことがないようにした。



 俺との依頼を見事に果たしたナザレ達は、3ヶ月間の監視期間を経て、俺の専属諜報機関として雇用した。アヘンの中毒性は、短期間であり、依存性も高くない。

 アヘンがもう手に入らないのだから、アヘン中毒になることはないだろう。

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