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第七話 ファッションの街〘クロート〙その一

 自由都市クロートの基盤整備は、一段落として、次に街造りに必要なものを考えた。

 おしゃれな街づくりには、おしゃれなファッションが必要である。

 自慢じゃないが、俺は[おしゃれのセンス]というものを、全くと言っていい程、持ち併せていない。

 でも解決策はある。今や俺には、頼れる妻[マリア]がいるからだ、

 さっそくマリアを捕まえて、聞いてみる。

 「マリア、実はクロートの街に、おしゃれな洋服を流行させたいと、思っているんだけど、俺は、おしゃれのセンスに自信がなくて。だから、マリアに頼みたいんだ。」

 「えっ、私に? でも、洋服なんて作ったことないわ。」

 「構わないよ。ただ選ぶだけでいいんだ。例えば、俺の世界のショッピングモールとかでね。」

 「まあ、なるほどね。それなら、相談する相手が必要だわ。ケアラとレイナを連れて行きましょう。」


 ということで、ケアラとレイナを俺の世界にご招待だ。まずは、俺の部屋へ転移して、彼女達に現代日本の服装に着替えさせる。マリアの服をサイズは無視してなんとか着させた。

 しょうがない、ショッピングモールで、彼女達の服も選ばせよう。

 「まあ、ここがシンジ様の世界でございますか。なんて綺麗な街並でしょう。」

 「ほんとうに綺麗。道行く人達の服装も皆違うのね。」

 「そうだ。ショッピングに行く前に、街を歩く人達の服装を見てみるといいよ。そこのベンチに座って眺めていてよ。俺は飲み物でも買ってくるよ。」

 俺は、近くのコンビニに入り、三人のソフトクリームと俺のアイスコーヒーを買う。

 「皆には、ソフトクリームだよ。」

 ソフトクリームを口にして、マリアはニンマリしている。ケアラとレイナは、一口食べて、冷たさに驚いたのか、目をこれでもかというくらい見開らいて、俺を見つめてくる。

 「ケアラ、どうしたの? 冷たさに驚いた?」

 「い、いえ。あまりの美味しさに、驚きましてございます。こんな美味しいものが、世の中にあるのでございますね。」

 「シンジ様、レイナは決心致しましたっ。一生シンジ様とマリア様のお側に置いていただきますっ。」

 「あらあら、二人とも。ソフトクリームくらいで、驚いてちゃだめよ。こちらの世界では、美味しいものが数えきれないほどあるのよ。夕食を楽しみにしてると、いいわ。」

 「「楽しみですぅ!」」

 やれやれ、夕食を期待されちゃったよ。まあ、今から悩むのはよそう。

 それより、洋服選びが優先だ。


 俺の愛車、シボレーVWに三人を乗せる。もちろん、助手席はマリアで二人は後部座席だ。

 おとなしく座っていてくれるかと思いきや、窓のオート開閉に驚き、カーステレオに歓声を上げ、リクライニングシートで遊んでる。

 気にしちゃだめだ。運転に集中しよう。 


 目的地のショッピングモールに着いた。モール内には、女性服の専門店が16店舗、男女両方が4店舗、男女子供服が2店舗、幼児子供服専門店が7店舗もある。

 「皆、まず買わずに、一通り見て回ろう。それも商品を絞って。

 最初は、一番店舗が多い、女性の服から。」


 「まあ、上下に別れてるものばかりじゃなく、一体のものもあるのね。」

 「生地も色も柄もいろいろ、ましてやデザインが多種多様でございますね。」

 「あちらの世界にはない生地がございます。それらは、作るのが困難と存じますが。」

 「そうだね。今回は初めてだし、シンプルなデザインで、模倣しやすい服装を選んだほうがいいかも知れないな。」

 一周目の周回が終わった。皆には、目に止まった商品を、店名と商品の特徴をメモして貰い、類似のものは、どちらかに絞って貰う。

 2周目、目を付けた商品を吟味しながら、購入して行く。サイズは、どちらの世界もMサイズが標準でいいとのことで、Mサイズの商品を色柄違いて、二着ずつ買った。一着は分解して模倣するためのものだ。

 あと、サイズの見本とするため、体型にフィットしたもので、シンプルなデザインのものを、S·M·L·2Lの種類を購入した。

 店員さんに怪しまれないように、マリア達を一人ずつ行かせて買わせたのだが、体型に合わせて、マリアはM、ケアラは2L、レイナはSサイズで、Lサイズは俺が購入する羽目になった。店員さんには、何も言われなかったが。


 この買い物だけで、かなりの時間を費やし、おまけに昼抜きで、がんばったので、腹ペコになった。まだ、夕方の4時くらいだが、今日は切り上げて夕食を取ろう。

 三人を連れて入ったのは、ショッピングモールの中の和食レストラン。ショウウインドウの見本を見て、選んでもらう。

 「せっかく日本に来たのだから、まず最初の食事は和食にしよう。この世界にもいろんな国と、その国の料理があるけど、日本の料理が和食だよ。」

 「この中に、マリア様が食べられた料理は、ございますか?」

 「ええ、レイナ。このお寿司は、専門のお店で食べたわ。あそこは、また行くべきね。だから、お寿司以外の料理になさい。」

 「ここの和食は、魚料理と野菜料理がおすすめだよ。」

 「では、この女性向け、(いろど)り弁当にしてみます。」

 「ケアラは、どれにするの?」

 「はい、お弁当がいろいろ味わえそうなので、この海鮮弁当にします。」

 「じゃ私も、お弁当にするわ。う〜ん、身欠きにしん弁当にするわ。」

 「おっ、渋いのを選んだね。俺も同じにするよ。」

 お店に入り、注文を済ますと、女子会トークの始まりだ。

 「ねぇ、ねぇ。さっき選んだ服だけど、私もほしいなぁ。」

 「えっ、売り出されてから、お買いになればよろしいのではないですか。」

 「まあ、そうだけど。そんなに待てないわ。」

 「マリア、この買付が済んだら、ケアラとレイナに2〜3着、私服を買うつもりなんだけど、マリアも買えば?」

 「「「まあ、素適っ!」」」

 「どう? 私の旦那様は?」

 「「最高の旦那様ですっ!」」


 料理が運ばれて来た。三人は、各々おかずを一口噛んでは、目を虚ろにして味わっている。

 「この野菜の煮物、甘辛くてたまらない味です。ご飯と一緒に食べるといっそう美味しいです。」

 「これは、牡蠣のフライでございましたか。柔らかくて、なんとも言えない美味でございます。」

 「この身欠きにしんも、甘辛で身が締まっていて、歯ごたえもあって、とても美味しい。」


 お弁当に入っていた、だし巻き玉子や佃煮、漬物は、茄子漬、白菜漬、福神漬と三様だったのに、好評だった。

 特に大好評だったのは、皆に付いていた《茶碗蒸し》。 

 なめらかな食感と、薄味の中に込められた出汁(だし)が、三人のお口に合ったらしい。


 帰ったら、、二人は転移で向こうの世界に帰すつもりなんだけど。

 まさか俺の部屋に泊まるつもりじゃないだろね?

 なんか、パジャマの話題で盛り上がってる気がするし、不安しかない今の俺なんだけど。 


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