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第六話 市民の公園造り

 クロートの街のあちこちには、木々が残る空き地があり、俺は市民の皆に、自分達の近くの公園を、自分達で造るよう呼び掛けた。


 公園造り開始日、市庁舎ノ前には多勢の市民が集まり、用意した芝生や花の苗、花壇や道の区切りに使う石やブロック、それにベンチなどを、皆で各々持ち運び公園造りが開始された。

 木々や小川が、自然のまま残された、その場所の地形が活かされた公園が造られていく。

 

 「小川の渕に、このブロックを並べるといいわね。」

 「この場所の小川は、周りが平だから、砂利を撒いて、子供達が裸足で水遊びができるようにしましょう。」


 「おーぃ、ベンチはどこに置いてもらうんだ?」

 「あそこよ、あの木ところ。日陰になるから、涼しい場所よ。」


 「ここの芝生貼り完了しましたっ。」

 「次はあっちだ。行くぞ。芝を持ってついて来い。」

 「待ってください。あっ、シャベル忘れたっ。」


 市庁舎の職員達は、公園の中に井戸を堀りポンプを取り付けて、水飲み場を設けたり、小川に橋を掛けたり、公園造りをサポートする。


 俺は公園に遊具を造るボランティアを募集した。若者から年寄りまで、女性5名を含む、32名の市民達が参加してくれた。

 まず、小さな公園には、木製のブランコと滑り台、そして、ぶら下がりはしごを設置した。

 21ヶ所もあって、たいへんだったが、これらは、鍛冶ギルドで造った完成品を設置するたけなので、運んで、置いて、杭で固定するだけだ。

 それから、敷地の広い公園には、俺の書いた全部で21種類のアスレチック遊具の設計図から、公園の広さに応じて選ばせたアスレチックを設置した。


 「どれが子供達に喜ばれるかな?」

 「たぶん、ロープにぶら下がって移動するものとか、人気になりそうですね。」

 「一人ずつ乗るとしたら、順番待ちが長そうね。」

 「人気になりそうなのは、2種類ぐらい造って行こう。」


 「このアスレチック遊具、出来上がるまでは、どうやって遊ぶのか、分からなかったけど、なるほど、丸太やロープを伝って向こうへ行くんですね。」

 「あら、違うんじゃない? いろんな所にあるロープが小さなブランコなのよ。」

 「どっちでもいいんだよ。子供達が好きに遊べばいい。」


 「おーい、迷路はこれで完成か?」

 「今、ほんとうに出られるか、実験中ですっ。」

 「あ〜ん? いつまで迷ってるんだ? 早く出ないと、日が暮れちまうぞっ。」


 公園に欠かせないもの。それは噴水である。

 初めは、ポンプで噴水を作ろうとしたが、人力ポンプでは、ずっとポンプを動かしている、必要があるので断念した。

 次に、噴水は結婚式のシャンパンシャワーのように、上から受皿を伝って流れるようにし、水は、小川に小さな水車を設置して、噴水より高く汲み上げ、その水を地面の下のパイプを通し、噴水の上部に送る。サイフォンの原理だ。

 受皿の付いた噴水は、市民達がおもいおもいに粘土で造り、なかなかの芸術作品だ。


 公園造りは、一ヶ月程で完了した。広場がある公園には、アスレチックなどの遊具施設も設置し、市民や子供達の憩いの場となった。

 未来を見据えて、植樹も行い、どんぐりやクルミの木、イチョウやカエデの木々を植えた。

 いつか未来に、イチョウ並木の道を歩く、人々を想像しながら。

 

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