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第五話 シンジの第一次イシスタ改革 そのニ

 領都の街に突如出現した飲食店群は、人々の大評判となり、当面の資金の捻出もできた。

 また、場所税の廃止との相乗効果で、常設店舗の商人も増えたが、個人が商売をする露天の市場の規模が、比較にならない程の増加を見せた。


 この機会を逃さず、次の施策を実行することにする。

 次に行なった施策は、公共事業だ。曲がりくねっていた道路を直線にし、狹かった道路巾も馬車が悠々すれ違う広さに拡張した。砂利を敷きセメントで固めて、平らな馬車が走り易い道にする。

 また、センターラインを設け、左側通行とする。

 飲食店群で稼いだ資金を、惜しげも無く注ぎ込み、多勢の人夫達を雇用する。

 人夫達は、稼いだ金で食品や日用品を購入し、それがさらに商業規模を増大させた。

 道路には、街や村と開通する度に、乗合馬車を運行させ、人と物の流通を盛んにする。

 半年後には、商業ギルド長のマーケットが、ギルドの売上が以前の50倍を超えたと、驚きの表情で報告にきた。

 

 一方、鍛冶ギルドに依頼した蒸留設備は、一ヶ月後に完成し、二週間の試験操業を経て、生産を開始し、2ヶ月後から販売を開始した。

 造られたのは、アルコール濃度20度の小麦焼酎。無味なので、果汁などを加えた飲み方を推奨したが、そのまま飲まれる方が多いようだ。

 販売開始から、評判が高く、蒸留所はフル稼働している。


 領主館の周辺農家に試験栽培してもらった農作物は、サトウキビの生育が悪かった他は、支障なく収穫できた。

 他の作物は、翌年から本格栽培を始めることになった。

 試験栽培を依頼した農家は、その作物の元祖みたいに誇らしげであり、周りの農家から種子の分配や栽培の指導が相次ぎ、嬉しい悲鳴を上げているそうである。


 

 道路整備に併せて、都市計画を進めた。

街の区画を4つに区切り、再開発を行なった。

 衣食雑貨の商店が軒を連ねる商業地区。中心には、フードコートを備えたショッピングモールを建設。

 居酒屋や酒場、ショウパブなどの店が立ち並ぶ歓楽街。

 鍛冶職人達の工場兼店舗が並ぶ、工業地区。 

 大規模な市場や酒の蒸留所、荷馬車のターミナル、商業ギルドや鍛冶ギルド、そして各種行政を行う領主庁などを集めた公共施設街。

 そして、周囲には住宅街。さらに郊外は農地が広がる。


 再開発に伴う移築費用は、5割を補助し、自己負担分の貸付も行なった。だたし、耐火耐震構造と、防火対策としての隣家との距離や防火用水の設置を厳しく規制した。

 移転先は、一定の資格ごとに抽選で割当て、権利の売買を禁じた。


 移転再開発は、開始から3ヶ月で大規模な建物を除き、驚きの速さで完成した。

 ショッピングモールや大規模市場など一斉オープンの日、領主庁で式典が行なわれ、俺が二階のテラスから、挨拶を行なった。

 現代日本から持ち込んだ拡声器を、街の随所に設置したので、俺の挨拶の言葉は、領都中に流れる。

 いずれBGMを流したりするつもりだが、それより、非常災害時の緊急放送として役立つはずだ。


 『皆さん、今日という日は、イシスタの領都が新しく生まれ変わった日です。

 私が女神クロート様の導きにより、この地にやって来て、皆さんと共に目指す、豊かで平和なイシスタ領の象徴となる街です。

 私は、この街を《自由都市クロート》と名付け、女神様の祝福で溢れる街にしたいと思います。』

 

 『『『『ウワァーッ、』』』』街中から大歓声が上がり、そして拍手の渦となった。

 この日、《自由都市クロート》が誕生したのである。

 この小説を読んで頂きありがとうございます。

 連載中のもう一つの小説、『異世界ランボーな生活』と、違う発展を描くのに苦慮しています。

 もし良ければ、小説情報から、そちらも読んで、比較してみてください。 https://ncode.syosetu.com/n0236gl/


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