第二話 誕生 シンジ·イシスタ伯爵
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その日、王国からから正式に、俺がイシスタ伯爵となることが発表され、俺とマリアの結婚式が、イシスタの領都の《女神クロート神殿》で行なわれた。
神殿の前の広場には、新しい《イシスタ伯爵夫妻》を見ようと、多くの人々が集まり、俺達が顔を見せるのを、『今か今か』と待っている。
俺とマリアは、神殿の二階のテラスに出て、人々の前に出ると、『『『ワアー。』』』という歓声が上がり、そして、次第に静まり俺達の言葉を待っている。
「領民の皆さん、私の隣にいる方が、女神クロート様のお導きにより、そして私が選んだ夫である《シンジ様》です。
彼の助けにより、私は父の仇を討つことができ、また、乗っ取りを企んだ貴族達の手から、このイシスタ伯爵領を守ることができました。
これからは二人で、このイシスタ領が豊かで暮らしやすいところになるよう、努めて行きます。」
「皆さん、初めまして。《シンジ》といいます。
女神様の導きで、マリアと出会い、そしてここへ来ました。せっかく来たからには、皆さんとともに、イシスタ領を発展させて行きたいと考えています。
街で見かけたら、気軽に声を掛けてください。俺は、たくさんの友達を作りたいんです。」
俺達の言葉に、広場では、人々が様々な反応だ。
「おい、聞いたかよ。伯爵様なのに、俺達と友達になりたいとよ。」
「ああ、驚きだな。普通の貴族様とは違うな、いい領主様になるんじゃねぇか。」
「マリア様は、今も変わらずお優しい方だわ。以前、私達が開墾している所に通りがかった時に、大きな木の根に苦労しているの見られて、馬から降りられて、その馬で木の根を引かせて助けていただいたことがあったの。
お礼を申し上げると、微笑んで、『皆、ご苦労様、がんばってね。』そう言ってくださったのよ。」
「ええ、私も以前、子供達がはしゃぎ過ぎて
、マリア様にぶつかってしまったことがあって、てっきりお叱りを受けると思ったら、『子供のしたことですから、子供は失敗して多くのことを学んで行くものよ。』そうお優しく微笑まれたの。」
「あのな、不思議なことだがよう。《シンジ》様って、《神事》様じゃねぇかって、そんな気がしてよう。」
「うぉっ、そ、そうかも知れないな。なんでも、国王陛下が貴族達に、今後イシスタ伯爵家に手出しすることを禁じたそうだしな。」
その夜イシスタ伯爵邸では、俺とマリアの結婚を祝うと同時に、家臣達との新たな忠誠を誓う儀式が執り行われていた。
「騎士団長パットン、貴方を我がイシスタ伯爵家の家宰に任命します。」
「ははっ、このパットンにできる限りの忠誠で、イシスタ伯爵家をお守り致します。」
「レンジャー部隊第一小隊長ミラー、貴方をイシスタ伯爵家の騎士団長に任命します。」
「ははっ、この大役、ミラーの一命を掛け果たす所存でございます。」
「レンジャー部隊第二小隊長アルト、貴方を財務官に任命します。」
「ははっ、微力ながら、お役目全力を尽くし、イシスタ領の発展を目指します。」
「レンジャー部隊第三小隊長クラウド、貴方を警備隊隊長に任命します。」
「はい、領民が安心して暮らせるよう、街の治安に全力を尽くします。」
以下、商工担当官ロイズ、農林担当官ファーマン、公共事業担当官ロードス、厚生担当官ケアラ、侍従長にレイナの布陣である。
このうち、ケアラとレイナは女性であり、マリアの元侍従からの抜擢で、二人は前代未聞の抜擢に、その責任の重さに打ち震え、そして感激していた。
「ああ、マリア様。幼い頃より仕えて参りましたが、女の身で、このような大役を仰せつかる日が来るとは、思っても見ませんでした。」
「大丈夫、ケアラなら私の身をずっと心配してくれたように、これからは領民のことを心配してくれればいいのよ。」
「マリア様、私にケアラ様の代わりが務まりますでしょいか?」
「あら、務まらないとでも。レイナは今までも私の相談役よ。これからもね。」
こうして、イシスタ伯爵家の新体制は、出来上がった。あとは、驚くような政策で領民を豊かな暮らしに導くだけだ。




