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第十話 休日の過ごし方 その一

 俺達が戻ったのは、金曜日の夜8時でした。

 いくら報復とは言え、大勢の血を流したことに胸が痛みます。正直、心身ともに披露痕倍で、寝てしまいたいところなんだけど、空腹のままでは眠れない。

 てっとり早く、外食でお腹を満たすことにしたが、徒歩圏内には適当な店がない。愛車でそう遠くないお店の中から、選択しよう。

 そう考えた俺は、マリアを回転寿司に招待することにした。ただし、回転寿司でも寿司が回ってないところに。

 そこは列車が皿を乗せて、僕らの席まで運んでくれるシステムだ。

 回ってない回転寿司というのは、回転寿司の初回には、説明するうえでどうかと思ったが、いちいち注文票を書いたり、店員さんに声を掛けなく良いので、その点が楽なのです。

 う〜ん、お寿司を初体験のマリアには、何のネタ

を勧めればいいのだろう?

 とりあえず、種類の違うもので、俺が好きなものを試してみよう。

 選んだのは、マグロ、サーモン、〆鯖、甘海老、穴子、玉子、いなり、おしんこ巻、カンピョウ巻。あと、あら汁。

 「マリア、無理はしなくていいから、食べてみたいにものだけ、味をみて。」

 「ええ、そうするわ。初めての食べ物は、とても緊張するの。生の魚なんてグロテスクでしかないと思えるし。」


 「そう言えば、前から不思議に思っていたのだけど、僕達はどちらの世界にいても、言葉は全く違和感ないよね。」

 「そうね。まるで言葉だけは、共通に聞こえるわ。だけどそんなはずないのよ。

 時代とともに変わる言葉だってあるはずなのに、それまで同じはずないもの。

 女神様のちからが働いているとしか思えないわ。」


 『ピコピコ! まもなく、下の段にお寿司が届きます!』 そうして、列車に引かれ、注文したお寿司が届く。

 「わぁ! なんて不思議な光景なんでしょう。これが魔法じゃないなんて、私には不思議過ぎて、あ然とするしかないわ。」

 僕には、魔法の方がよっぽど不思議なんだけどね。それは、ある意味お互い様かな。


 「この魚は、生じゃないわね。タレが甘くてデザートみたいだわ。」

 「それは穴子という魚で、蒸焼にしてあるんだよ。」

 「この玉子焼は、朝食で味は知ってるわ。こちらの海苔巻をいただくわ。中の具は、茹でた野菜ね。やさしい甘さね。

 それにしても、ご飯がほんのり甘くて、巻いてある海苔の風味が合ってるし、お寿司というものの味が、とても美味しいと理解できるわ。」

 わずか2巻目で、ベテランの食レポーターも顔負けのコメントをありがとうございます。

 僕は、次々と届くお寿司の皿をマリアの前にならべる。


 「いよいよ生の魚に挑むわ。この赤身がマグロというのね? お寿司の王様とあなたがいうからには、食べてみなくてはね。

 〘むぐっ、あむあむ。〙そんなにくせのある味ではないわ。わさび醤油が魚の臭みをやわらげて、酢飯の美味しさが引き立てているわ。

 あら、こちらのオレンジ色の身の方が、私の好みだわ。魚の脂肪かしら、甘みがあって、より美味しいと思うの。」

 「それはサーモンと言って、日本でも北の方でしか採れない魚だよ。イクラという玉子もとても美味しいんだ。」

 マリアは、結局全部のネタを平らげた。いや、追加したイクラやイカ、トビっ子、蟹味噌に至るまで、あら汁に舌鼓を打ちながらの完食だ。お稲荷さんとおしんこ巻、追加した納豆巻は、お持ち帰りした。

 代わりに、デザートの杏仁豆腐を平らげたけどね。もう、お腹いっぱいよ。といいながら、女性には甘味は別腹だと感心したよ。


 

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