序章 龍炎 誕生 2
帝の前に座る晴明。
さて、どんな宴が待ち構えているのか……
使いの者たちと一緒に、帝の待つ屋敷の中に、晴明の乗った駕籠が入っていく。
『そろそろ来るころじゃな。用意をいたせ』
気配をのか、帝は周りの者たちに宴の用意をするように、指示を出した。
それから少し後、御簾の向こうから声がかかった。
「お待たせいたしました。安倍晴明様、ご到着なさいました」
その後、少し低めの声で、晴明が頭を下げ、帝に挨拶をした。
「此度のお招きにより、安倍晴明、参上仕りましてございます」
頭を下げている晴明に声をかけ、帝は御簾をあげて、近づいてきた。
「ご苦労であるぞ、晴明。わざわざ呼びつけてすまなんだ。ま、堅苦しいあいさつは抜きじゃ。楽にせい」
帝に、楽にしろ、と言われたからと言って、はいそうですか、とは普通はならないものだが、そこはこの晴明、これ幸いとばかりに、頭を下げて笑みを浮かべる。
「ありがたきお言葉。では、お言葉通り、楽にさせていただきますぞ。
で、今宵は何の用です?」
口調を変えた晴明を見て、周りにいた者たちは顔色を変えたが、帝は眉一つ動かさずこう答えた。
帝は、晴明の態度に対して、なんと答えるんでしょう