マイペース部長と完璧男の副部長
「部長、これどうするんですか?」
ここは柊中学美術部部室。部員たった10人のこの部活では、3年生1人、2年生2人、1年生3人という内部構成になっている。個性豊かな部員をまとめるのは3年生唯一の部員であり、部長の秋川リリだ。
「あ、それ?んー、どうしよっかな。今日みんないないし、そこはみんなでやりたいから、先にこっちやろー。」
いつもマイペースであきっぽい部長を支えるのは俺。2年生、副部長名月レン。自分で言うのも難だが成績優秀、スポーツ万能そしてイケメンのいわゆる完璧男である。
「なーに、自分の紹介してんの。声に出てるよ。」
「そ、それよりも作品どこからやりますか?早くやらないと……。」
「へーきへーき。まだ、大丈夫だって!」
「部長……。」
「なぁに?」
「っていいながらもう3日も過ぎてるじゃないですか!文化祭に間に合いませんよ!」
いくら俺が怒っても部長は表情ひとつ変えずいつもの調子でいい放った。
「大丈夫。今はこの作品に足りないものを探してるの。文化祭までには絶対完成させるわ。」
「全く……。」
俺はあきれた顔をしながらポリポリと頭をかく。そして、深くため息をついた。
周りがどれだけ無理だっていっても完成させちゃうのがこの人なんだよな……。どうやったらこの人のようになれるんだろう……。