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おもいつくまま

農民だよね?畑中さん

作者: 日陰茸

思いついた設定をとにかくぶち込んでみた。


 初めまして、畑中はたなかといいます。人からは畑宝はたからさんと呼ばれていますが畑中です、由緒ある畑中です、間違えないでいただきたい。……王様も畑宝と呼ぶので諦めたほうがいいかもしれませんが。


 僕の家は王都の一等地にあります、お隣はお城です。回覧板回すの緊張するわー。

でも僕の家は貴族さまではありません、由緒正しい農民一家です。貴族だったことは一年間くらいしかありません。


 ええ、貴族だった時もあるのです。山よりも高く、谷よりも深い大人の事情というやつです。農民のくせに僕の家が一等地な理由でもあります。そんな貴族生活ですが一年後に空よりも高く海溝よりも深い理由で取り消しになりました。以来また由緒正しい農民に戻っています、


 一等地に農民の家、どんな家かといえば2LDKのこじんまりとしたお家です。こじんまりしていない?何を言います、他の貴族さまのお宅など客室だけで僕の家のリビングほどの大きさのお部屋が10個以上ありますよ?とにかく、そんなこじんまりした家にお庭というか畑や果樹園があるのが僕のお家です。


 今日は僕がお家を継ぐ大切な儀式があります。お父さんとお母さんが事故で亡くなったために急遽僕が継ぐことになったのです。まだまだ先のことと考えていたので非常に緊張します、だって王様も見学に来るんですよ?いくらお隣さんだからって自由すぎませんかね?


 ああ、お父さん、お母さん何故死んでしまったのですか?だから秘境の湯めぐりツアーなんて土砂降りの雨の中強行するなバカーと言ったのです。それでもお前たちは農家か、結婚記念日だからって浮かれすぎたんだ。


「畑宝、準備はいいか?」

「畑中です。準備はまあ……なんとか?」


 近所のおじさん―― 一等地なのでこの方も貴族様ですが僕にとっては小さいころ飴くれた優しいおじさんです――が家の中で精神統一と言う名の一人愚痴大会を開いていた僕に儀式の時間だと教えてくれました。


 家から出ると近所中の住人様方がこちらを注目しておりました、うう、緊張する~。


 震える手で握りしめていた儀式の道具を持ち直し、皆様方の前に立つと僕は教会の神父様にお辞儀をし、神様の祝福の儀を受けます。でもこれはこれから行う儀式の前準備、うまくいきますようにという神頼みです。


 祝福の義が終わると奥の畑に向かい、僕は勢い良く持っていた道具――鍬を振りかぶりました。


『ザクッッッ』


 余韻の残るようないい音が畑に響き渡りました、しかし本命はこの次です。ぐっと畑の土を鍬に引っ掛け、中に埋まる何か・・を手繰り寄せて畑の上に引き出します。


「で、でたぞ!!宝だ!」

「でた、でたわ!これで今代畑宝も安泰ね!」


 次々にご近所様方から良かった良かったと祝福のお言葉を頂きます。私も心持ち肩の荷が下りた気分です。


「さてさて、今代畑宝も無事に継承できたことじゃが……今回の宝はどういったものなのかのぅ?」


 我が家の畑はよく耕されており、裾の長い服装のお貴族様や王様は汚れをつけることを避けるために入ってくることが出来ません。これはお貴族様方の性格が悪いのではなく、僕が罰せられる自体を避けるためです。いくらご近所付き合いをしていてもあちらは貴族、僕は農民、僕の家の敷地でお召し物が汚れるなどあってはならないのです。


 遠目にでもそれが何かを精一杯背伸びして確かめようとするお貴族様方、なんともほほえましい光景です。しかしいつまでも背伸びさせているにはかわいそうなので僕はそれを拾い、王様の前――ではなく神父様の前に差し出します。王様の目に触れさせるならきちんと祝福とお祓いをしなくてはいけませんからね。


「神よ、此度も我らにささやかな贈り物をいただきありがたく存じます、全ての神の子らに祝福を!……これでよいでしょう、畑中よ王に此度の宝をお見せなさい」

「はい」


 僕の汚れた手でそのまま差し出すわけにもいかないので王様の隣に控える騎士様の差し出した布の上にそっとおきます、そのまま騎士様が王様に見やすいように布の位置をかえて王様がそれを確認なさいました。その間に僕は手を洗って拭います。


「ほうほう、これは儂も宝物庫で見たことがあるぞ?今代は初代と同じく『魔法の袋』を引き当てたようじゃのぅ。さて中身は・・・ほう?なんとも甘い香りじゃ、何かの植物の葉……香りはお茶に似ておる気もする、そしてそれを包む・・・これは網かの?なんとも繊細な作りじゃ」

「植物の種でない以上、農民の僕には活用することは出来ません。代々の畑中と同じように献上したく思うのですが……借金返済のためにも」

「護衛兵の遺族賠償なら必要ない、国が負うべきものじゃ」

「いえ、あのような悪天候で周囲の静止も聞かず欲をかいたのは父――先代畑中です。その罪は私が負うべきもの」

「相変わらず畑中は謙虚じゃの、だからこそ宝も掘り当てるのじゃろうが。――分かった、あとで宝具大臣をつかわそう。さて皆の者、今回の継承の義務無事に終わった、宝の確認も済んだ、各々解散するが良い!」


 王様の一声で解散が決まりました。

皆様もうお分かりかと思いますがこれが僕のお家が一等地にある理由です。


 何故か代々の畑中の血筋のものが畑を耕すと、当主の代替わりの時と年に一度、多ければ月に一度、畑の中から不思議な物が掘り出されるのです。一度畑をひっくり返したそうですがその時は何もでず、しばらくたって耕したらやはり出てきたそうです。別の村人がやってみましたがやはり何も出てこず、畑中が耕したら一発で出てきたそうです。


 そこから紆余曲折の末、ここに王都が出来ました。

元は小さな村だったのが大出世ですね、他の村人は別の肥沃な土地を頂いて今は大規模農家を営んでいるそうです、羨ましい。


「初代畑中が残した『NOTE』とかいう不思議な書き物はなかなか楽しめますが……やはり一農民としては普通の農家ぐらしをしたいですねぇ」

「あなた方が普通の農民というと他の農民さんに失礼ですのでやめてください」

「そんな、神父様、僕は善良な一農民です。ただ持っていた畑が普通じゃなかっただけですよ」


「……畑中、よく聞きなさい。普通の農民は鍬一本で石造りの家は壊せません」


 ましてや獰猛な野獣を一撃で仕留めるなんて無理ですから!


 神父様の懇親のツッコミが入りましたが……普通じゃないってまたまた冗談が過ぎますよね、だって父も母も鍬どころか畑に転がっている邪魔な石礫で獣退治できますよ?僕などまだまだ。


「おお神よ、どうか比較対象がおかしいことに気づかせてやってください。もう私には無理です」

「神父様、服が汚れますので膝はつかないほうがいいですよ?何か悩みごとがあるのなら相談に乗りますから、誰かに話すだけでも気分が浮上するといいますし」

「うぅ、いい子なんだ、いい子なんだけど……」


 君のせいですからぁぁぁ!


 神父様、涙を流して走って行ってしまいました。

そんなに辛いことがあったのですね、あとで差し入れを持って行きましょう。

生前お母さんが石礫で狩ったイノシシの肉などいいかもしれませんね!そうしましょう。


主人公が真面目すぎて笑い成分が足りない。

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