表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/59

双葉、家族に正体ばらすッ!

 双葉は硫酸の瓶を持ったまま震えていた。そして自分の頭に、それの中身をぶちまけようとした。正に絶体絶命というこの時に、双葉はニヤッと笑った。

「どうしましたですか?」

 ミリーは、気でも触れたのかと心配そうにしていた。しかし、双葉は冷静だった。そして彼女の方を見ると、突然、腹に力を入れた。

「んぐ・・・・」

 双葉は口からジェリースライムを吐き出すと、それを手掴みで捕まえた。

「こいつ、いつの間にか、口の中に入っていたみたいなんだ。俺を操ろうとしたのは良い度胸だが、相手が悪かったみたいだな。結城家の人間は、自身の体をコントロールできる。こんな奴に操られたりなんてしない」

 

 双葉はジュリースライムを意地悪そうに見ると、それを硫酸の瓶に入れてしまった。

「ぶぎゃあああ」

 耳障りな奇声とともに、ジェリースライムは煙を出し、そのまま蒸発してしまった。

 その後、双葉とミリーは理科室の窓から、こっそりと外に脱出、そのまま校門を抜けて、学校から退散したのだった。


 家に戻った双葉とミリーは早速、茶の間にて尋問に掛けられた。ちゃぶ台の上には、刑事が取り調べで使うようなライトが置かれており、父の厳と、妹の若葉、そして兄の松葉は学校で既にいなかった。最も、若葉も学校のはずなのだが、これを理由に休んだらしい。

「さて、君は、あくまでも、自分をわしの息子、双葉であると主張するのだね?」

「だから、何度も言っているだろ。俺だよ。クソ親父」

 双葉は愛らしい外見からは想像もつかないほどの、ドスの利いた声で、厳に叫んだ。

「ううむ、確かに、この喋り方は双葉そのもの・・・・」

 厳は腕を組んで何やら難しい顔をしていた。そこに、今度はミリーが口を挟んだ。

「私が、双葉さんをこんな姿にしてしまったのです。実は、私、この星の人間じゃなくて・・・・」

「もういい」


 双葉は余計に事態を悪化させるであろうミリーの口を塞いだ。そして若葉と厳を交互に見比べた。

「ふん、実の息子も分からないなんて、何て家族だ」

「じゃあ、証拠を見せてよ」

 突然、さっきまで黙り込んでいた若葉が口を開いた。そして双葉の元にグイグイと詰め寄ってきた。

「な、証拠って?」

「確か、お兄ちゃんのお尻には、ホクロがあったはず」

「それじゃ。早速見てみよう」

「はい?」

 厳と若葉は手をワシワシと怪しげに動かすと、そのまま双葉に飛び掛かった。

「おい、馬鹿か。止めろよ・・・・」

 双葉は必死に抵抗するが、あっという間にパンツごと脱がされ、うつ伏せに押さえつけられると、尻にある、小さなホクロを二人の前に晒した。


「うおお、正しく。ワシの息子、双葉じゃあ」

「本当だね。やっぱり、あたしの勘は正しかったんだね」

 互いに喜び合う二人はさておき、双葉は顔を真っ赤にし、突然、台所から包丁を持ってくると、それを振り回して、二人に襲い掛かった。

「この、よくもやりやがったな」

「落ち着け、双葉よ。これでお前のことを信じるから」

「む、本当か?」

「ああ、だから、今夜はワシと・・・・」

「ワシと?」

「一緒にお風呂に入るぞ」


 厳は嬉しそうに言った。双葉は口をあんぐりと開けたまま硬直した。さらに今度は、若葉が無理矢理割り込んできた。

「やったああ、お姉ちゃんずっと欲しかったんだ。よろしくね。双葉お姉ちゃん」

「うお、お前まで・・・・」

 少し危ない家族の、危ない日常が始まろうとしていた。ちなみにいつの間にか、ミリーは結城家に当分の間。世話になることとなっていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ