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神崎、正体を見せるッ!

「何だ電話か?」

 項垂れるミリーの姿を背に双葉は携帯を耳に当てた。相手は斗真だった。

「先生か。どうした?」

「神崎稔を見つけたぞ。僕が捕まえてやった」

 斗真は背中に「動くな」と書かれ、文字通り動けなくなった稔を見ながら携帯をポケットに閉まった。

「観念してくれ。君は警察に突き出すからな」

「警察だと。俺は神崎稔じゃない」

 稔の顔がグニャグニャと歪んでいく。そして全く別の見知らぬ男の姿に変わった。

「何だと・・・・」

 驚く斗真の背後から双葉とミリーが現れた。

「斗真、やっぱりな。こいつも神崎じゃないみたいだ」

「どういうことだ?」

「神崎稔は人を直接操ったり、人の中に入って化けることができるんだ。さらに人に暗示を掛けることもできるみたいだ。一種の催眠術みたいな」


 斗真は胸ポケットからメモ帳を取り出すと、そこに何かを素早く書き込み、口でベリッとページを破った。そしてそれを男の背中に張り付けた。

「何を書いたんだ?」

「お前を操っていた奴の居場所を教えろと書いた。確かに神崎とやらは恐ろしい能力の持ち主だが、遠くから人を操ることはできないはずだ。そんなことができるのなら、僕らはとっくに始末されている。僕らの親しい人物を操れば良いのだから」

「なるほど・・・・」

「さあ、答えろ」

「ぐぐぐ、神崎稔は、そ、そこにいる・・・・」

 男が指を指した先には喫茶店があった。店の外観には白いテーブルが並んでおり、昼休みなのか、OLが三人で、甲高い声で何かを喋っていた。特に変わった様子はなく、少なくとも店の外には稔はいなかった。双葉と斗真は互いに目配せすると、ガラス張りのドアを開けて、喫茶店の中に入った。

「いらっしゃいませ」

 女性店員がニコニコと笑顔を浮かべていた。斗真は抹茶ラテとコーヒーをレギュラーサイズで注文すると、茶色のトレイにそれを乗せて、近くの小さなテーブルにそれを置いた。


「おい、僕に奢らせたな」

「ああ、悪い。というかなんで抹茶ラテ?」

「僕はコーヒーが飲めないんだ。悪いかい?」

 斗真は透明なプラスチックのカップに入った抹茶ラテに口を付けると、店の奥にある窓が開け放たれていることに気付いた。

「まさか、逃げたのか?」

「どうした?」

「この店の窓はずっと閉まっているはず。なのに、あの窓だけ空いている。まさかそこから・・・・」

 斗真は窓に足を掛けて店の外に出た。双葉も一緒に窓から出ようとしたが、ある違和感に思わず足を止めた。そして店の中を再び見回した。

(おかしい。普通、窓から飛び降りるなんてしたら、周りの人間が見るはずだ。なのに、ここの客達は俺達の行動なんか関係無いみたいにくつろいでいる。まさか・・・・)

 双葉がその異変に気付いた時、彼女の背後に一つの影が近付いていた。

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