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双葉、少年と出会うッ!

「こんなに早く見つけられるとはな」

 双葉は足元に転がる核を掴もうと手を伸ばした。核は生きているかのように双葉の手から僅かに離れた。

「小癪な」

 双葉はさらに手を伸ばそうとするが、そこで突然、双葉の顔が青白くなった。

「お前・・・・」

 ズボッと何かが入ったような感覚。双葉はロボットのように首だけを動かして振り返った。そこにはカケルがおり、小学生がよくふざけてするような、いわゆるカンチョーと呼ばれる行為が為されていた。それも千年殺しと呼ばれるような強烈な一撃を、双葉の尻にお見舞いしていた。

「何しやがる・・・・」

「僕の大事な神様を苛めるからだ。へへーんだ。少しは反省しろ」

「この・・・・」

 双葉はそのままうつ伏せに倒れた。まさかこんな少年に不意打ちを受けるとは夢にも思わなかった。彼女の精神的ショックは大きい。


「このガキ・・・・」

「何だと。僕を怒らせたな」

 カケルはうつ伏せの双葉に馬乗りになった。双葉は強引にそのまま起き上がろうとするが、年端も行かぬ少年の体重は意外に重いらしく、四つん這いで、まるで赤ん坊をあやしているような体勢になっていた。つまりそれ以上立つことができないのであった。

「降りろよ。重いだろうが」

「うるさい。謝るまで降りないもんね」

 カケルはそのままハエ叩きを手にすると、それで双葉の尻を思い切り引っ叩いた。

「ひぎぃ、この、痛い・・・・」

 パシィーンという小気味良い音とともに、双葉の尻がプルンと揺れた。幼いゆえか、その攻撃には容赦がなかった。一回、また一回と、尻を打ち据えられていく。

「謝れ。この謝れ」

「痛いってば。マジで止めて」


「謝るまでは許さないぞ」

 双葉の尻が真っ赤になり、ヒリヒリと日焼けした肌のように熱くなっていた。

「本当に止めて・・・・」

「早くしないとカンチョーするぞ」

「うう・・・・」

 突然、双葉は額をカーペットの上に押し当てた。そしてシクシクと泣き始めたのである。

「酷い。うう・・・・」

「え、泣いちゃったの?」

 カケルは双葉の背中から降りると激しく取り乱していた。女の子を泣かすという、小学生男子の犯す罪の中でも最も大きな過ちをしてしまったカケルは、慌てて双葉に近付いた。

「ごめんよ」

 カケルは高慢な態度から一転、眉を下げて落ち込んでいた。しかし、彼はまだ幼すぎたから気付かなかったが、ある程度成長すると、嘘泣きという手段があることを知るのである。それに気が付かない彼はひたすらに謝っていたが、時既に遅く、双葉の策にハマっていた。

「甘いぞ。このガキ」

 双葉はカケルを押さえつけると、そのまま床に彼を押し倒した。そして彼の両脇に手を這わせると、激しく擽った。

「うひゃああああ、やめ、止めて」

「年上をからかいやがって。この」


 自分よりも年下の小学生に殴り掛かる奴はそういない。双葉はカケルを押さえると、彼が泣くまでずっと擽っていた。

「俺帰るわ・・・・」

 双葉は飽きたのか、特に荷物を持っていなかったので、そのまま自宅に帰ろうとした。もちろん、核のことはミリーに伝えるつもりだ。

「待ってよ」

 カケルは返ろうとする双葉の服の裾を掴んだ。

「何、まだ遊び足りない?」

「僕ね。友達がずっといなくて。それで、君と友達になりたいんだ。まだ少ししか話してないのに、帰っちゃ嫌だよ」

「あのさ。友達っていうのは、自分と年の近い子を言うんだよ。俺は14歳だし、君とは合わないと思うんだ。早く家にも帰りたいし、勘弁してね」

「嫌だ。嫌だ。お願い、後ちょっとだけで良いから・・・・」

「もう・・・・」


 双葉はカケルの押しに根負けして、結局、彼の家に後少しだけ残ることにした。



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