双葉、幽霊の正体を知るッ!
すいません。今回短いです。次から長くなります。
全く恐ろしい体験をしたと、斗真は双葉に身振り手振り説明したが、彼女は薄ら笑いを浮かべたまま、料理を口は運んでいた。
「城所先生、小説の題材にするつもりですか。その話」
「本当に見たんだ。ろくろ首と宙に浮いた女をな。どうやらここはマジで幽霊屋敷らしいな」
「あ、そうですね。きっと、先生にしか見えないものがいたんでしょうね」
「おい、僕を信じていないな」
そこに、先程厨房にいた、紫のドレスを着ている、美しい女性が訪れた。当然、足首は透けており、宙に浮いていた。
「驚かしてしまいごめんなさい」
ドレスの女性は、その見た目通りの、澄み切った美しい声で謝った。
「うわ、本当だ」
双葉は口に手を当てて、しばらく無言で、女性の周りをくるくると回りながら、主に透けている足を中心に観察していた。
「ほら、言っただろ。さあ、幽霊さん、この店の秘密について喋ってもらおうか」
「はい。実は私、生前はローザという、イギリス人の女性でした。今から百年前に、日本でお店を持ちたいと思い、こちらに来て、出させて頂いたのですが、お客さんが来なくて、気付いたら、死んだことも忘れて、料理を作っていました」
双葉と斗真は互いに顔を見合わせていた。
「なるほど、この町の住民どもの低俗な舌では、ここの良さが理解できなかったわけだな」
斗真は全てを理解した風に、一人で頷いていた。
「でも、ここ美味しいよね。迷惑じゃなければ、今度、家族連れて来ても良いかな?」
「はい、是非」
「ならば僕も、大学の友人を誘うとするか。最も、友人などいないがな」
その後、双葉と斗真はレストランに別れを告げて、それぞれの自宅へと戻った。




