休題、結城家の日常
朝6時、双葉はベッドの上で静かに寝息をたてて眠っていた。部屋のドアが静かに開かれ、中に何者かが入って来た。
「ふふふ、寝起きドッキリだぜ」
松葉は小声で笑うと、双葉の寝ているベッドの毛布に手を掛けた。
「ヤバイ興奮して来たぞ。実の兄妹だというのに、一線を越えてしまう背徳感に、俺の心ははち切れそうだ」
松葉は毛布をガバッと取り去った。しかし、そこには枕が二つ転がっていただけで、双葉の姿はなかった。ふと、天井を見上げると、双葉がナイフを取り出して、上から切り掛かって来たのだ。
「この、変態野郎」
双葉はナイフを下にいる松葉に向けたまま、急降下した。
「当たるか」
松葉は後ろに跳んで避けると、双葉はナイフを枕に突き刺したまま、松葉を睨みつけて舌打ちをした。
「くそ、もう少しで殺せたのに」
「ふん、甘いな、お前なんぞに殺されてたまるか。それよりも、後ろがお留守だぞ」
松葉は不敵な笑みを浮かべた。すると突然、双葉の背後のクローゼットが開き、中から妹の若葉が飛び出してきた。彼女は鎖を胸元から出すと、それで双葉の体をグルグル巻きにした。
「うあ・・・・」
「そりゃああ」
若葉は鎖を持ち上げると、双葉の体も宙を舞った。そしてそのまま天井に顔をぶつけると、ベッドの上に落下して、仰向けにヒキガエルのように伸びたまま気絶した。
「やったな妹よ」
「ええ・・・・」
二人はニヤリと互いの顔を見つめ笑うと、気絶している双葉に駆け寄った。
「さてと、俺は右のおっぱいを舐めるから。お前は左のおっぱいを舐めるんだ」
「ラジャー」
松葉は双葉に馬乗りになると、彼女のパジャマを引き裂いて、胸元を露わにさせた。あまりに強引にしたので、服は破けて、ボタンもあらぬ方向に弾け飛んでいた。
「こいつ、ブラ着けてないぞ。どうりで揺れるわけだ」
「お姉ちゃんたら、男の時と同じで無防備なんだから」
若葉は溜息を吐くと、双葉のピンク色の乳房に触れた。
「ん・・・・」
双葉の体がピクッと揺れる。それを見て松葉も若葉もニヤニヤしていた。はたから見れば完全に変態である。最も、どこから見ようと、二人は変態なのだが。
「ねえ、お兄ちゃん。面白いモノ見せてあげようか?」
「何だ?」
「こうやって・・・・」
若葉は双葉の乳首を指で摘んだり、弾いたりした。すると、彼女の乳首がビンッと立ったのである。
「これは・・・・?」
「ふふふ、女体の七不思議。おっぱいを刺激すると、固くなります」
「よし、俺も」
松葉が双葉の胸に触れようとしたその時だった。彼の顔が、小さな手に鷲掴みにされた。
「おい、クソ兄貴。何してんだ」
双葉は意識を取り戻した。そして松葉の顔を何発も殴ると、そのまま蹴り飛ばして、部屋から追い出した。
「クソ、変態が。弟の乳房見て、何が楽しいんだ」
双葉は胸元を隠して、パジャマを寄せていた。それを見た若葉の眼がキラリと光った。
「お姉ちゃん。今、胸を隠したね。それは既に、男性から女性へとアイデンティティーが移行しているという・・・・」
「うるさい。出てけ」
若葉も部屋から追い出された。その後、双葉は鏡越しに自分の体を見た。
「何が面白いんだよ。こんな体」
双葉はふと、自分の胸を手で持ち上げてみた。
(別に悪くはないよな。大きくはないけど。若葉よりは大きいし。Cカップぐらいかな。最も、巨乳好きの俺からしたら、いっそのこと、グラビアアイドル並みのボインが良かったけど)
自分で言っていて恥ずかしくなった。男に戻りたいのは当然だが、毎日、別の女性になれるとかならば、もう少し楽しめたのに、などと半ば愚痴のようなことを、心の中で呟いていた。




