双葉、学校で闘うッ!
金山は屋上にいた。そしてフェンスを思い切り殴り付けた。
「畜生、あのメスガキ。舐めやがって。おい、ゼニス。お前に従ったらロクな眼に遭わないじゃねえか」
「君はせっかちだな。とにかくあたいに任せなよ。次は目にもの見せてやるから」
「俺は金持ちになりたいと言った。お前はそれを叶えてくれていないぞ」
「だから、それはケースバイケースだよ。先にあたいの邪魔する連中を片づける約束だろ」
ゼニスは、欲望を持つ人間に憑依することで、欲望の分だけ力を与えるという能力を持っている。自身の体を黒い煙に変化させ、吸わせることで憑依できる。
双葉は公平を病院に連れて行ったために、学校に遅刻してしまった。教室に入ると、皆の視線が一気に彼女に集まった。どうやら、国語の授業だったらしく、神経質そうな中年の女教師が、顔に血管を浮かび上がらせていた。
「え~と、高須君が怪我をしたので、病院に連れて行って遅れました」
双葉は面倒臭そうに言うと、机の上に鞄を乗せた。彼女としては悪いことをしたつもりは無い。授業が終了すると、彼女の席に一人の女子生徒がやって来た。
「ねえ、結城さん」
女性は、三つ編みに眼鏡という典型的な学級委員の格好をしていた。事実、漢書は双葉のクラスの学級委員である。名前を佐伯綾香という。
「ああ、佐伯さん。どうしたの?」
双葉は眠たそうに綾香を見た。
「あなた、転校早々、遅刻するなんて、私を舐めているの?」
「何で、俺が遅刻すると、佐伯さんを舐めていることになるのかな?」
「私がこのクラスの学級委員だからよ。次、遅刻したら許さないから」
綾香は頭から煙を出しながら、やけにドシドシと音を立てて歩いて行った。双葉は呆然とその様子を見守っていた。
綾香はトイレに入ると、便座の上に座って、火照った顔を、手でパタパタと仰いでいた。
(はあ、結城双葉、私の名前を憶えていたわ。嬉しい。まだこの学校に来てから、一週間も経っていないというのに、私のことを覚えた。もしかして、彼女も私のことを・・・・)
綾香は顔を先程よりもさらに赤くして悶えていた。
(彼女、やっぱり可愛かったな。髪とかサラサラだし、肌も白くて、腕も細かった。こんなこと言ったら、避けられちゃうかな?)
綾香の受難は続く。
昼休み、双葉は屋上にいた。ミリーもそこでくつろいでいた。
「どうしたミリー?」
「邪悪な魔力を感じます」
ミリーの言葉が終わらないうちに、屋上のドアが破壊された。そして中から金山が出てきた。
「おい、ミリー、早く言えよ」
「ごめんなさいです」
「よお、クソガキ。ぶっ殺しに来たぜ」
金山は眼をギラギラと輝かせていた。よく見ると、腕や顔が金粉でも塗りたくったかのように金色になっていた。そして自らの服を引き千切ると、金色の鉱物のようなゴツゴツとした肉体を晒した。
「化け物かよ・・・・」
「ゼニスに憑依されているようですね。ここは私に任せて下さい」
ミリーが、双葉を庇うように前に立った。怪物化した金山は舌なめずりしながら笑ってた。




