5:blood
5:blood
数分後、私はその場所の前にいた。目の前のドアを開けると、中は人でごった返し、店中に歓声と怒号が響いていた。
その光景を見ていた一人の女性が私に近づき
「どうしたの?」と話しかけてきた。
「あ・・・あの。」
「うん?」
「ひげが生えてて、黒いタンクトップを着た・・・右耳にチェーンのついたピアスしてた人見ませんでしたか?その人探してるんです!」
「あー。翔のことかしら?あそこにいるわよ。」
そういってその人は、人だかりの中心を指差した。そこには、リングの上で血まみれになりながら戦うあの男がいた。
固まった。私のすべてが・・・
ここで・・・
「どうして、翔に会いたいの?」
女性の一言で我に帰った私は
「私、死のうとしてたんです。でも、あの人に止められて、この世界とおさらばしたければ俺のところに来い。っていわれて、ここの名刺を渡されたんです。」
すると女性はその名刺を見つめながら、
「あの子らしい・・・。翔はね、そういう子ほっとけないタイプなのよ。いろいろあって。」
「いろいろ?」
「そういろいろ。どんなことがあったかは、翔から止められてるから言えないけど。」
その女の人とあの男(翔)の話をしていたら、向こうでは決着がついたらしく、あの男が血に染まったこぶしを掲げながらアピールを繰り返していた。