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11:a landlady
店を出てもなお、一樹さんの興奮は収まってないようだったので、私の横には翔さんがSPのように隣にぴたっとついていた。
数分後。
「ここが俺たちの家だ。嬢ちゃん。」
「このビルの一角なんですか?」
「いや。このビルすべてが家だ。」
私の目の前には、5階建ての少し古いレンガ造りのモダンなビルが建っていた。
「ビル=家」の考えがなかった私にとって驚きしかなかった。
桜さんが玄関のドアを開けると、階段とドアを自分で開けるタイプのモダンなエレベーターがあった。みんなエレベーターに乗り込むと、桜さんが5階のボタンを押した。
階が変わるごとに、エレベーターの中の振り子はカチカチと動き、5階に向けて動いていた。
5階に着き、ドアが開くとアジアンチックなお香の香りが広がっていた。
正面には木製の茶色い2つのドアが聳え立っていた。
「マダム。今入ってもいいっすか?」
翔さんがドアの前で大声を出すと・・・
「いいわよ。入って。」
っと女性の声がした。
「桜さん。」
「うん?」
「マダムって誰ですか?」
「ここの大家さん兼私たちのお母さん的な人。」
翔さんがドアを開けると、少し長い廊下があって、その先には、レトロなソファーに一人の女の人が座っていた。




