転校生はお隣さん
「ねえ、悠くん。私ね、いなくなっちゃうんだ・・・」
「え?」
それは突然の出来事だった
「あはは・・・もう冗談はよしてよ・・・」
「ううん、冗談じゃないの、パパがね、遠くに行っちゃうの。それでお引越しするんだって・・・」
「・・・」
僕は何も言えなかった。それがこの子のことを思ってなのか、それともただ単にショックだったのか、今となっては分かりはしない。
僕はそのまま4時間目の終わりまで寝てしまっていた。
「ん、あれ?」
「もう、悠ちゃんったら・・・」
あの夢はなんなのだろう。そしてあの子は・・・
まあ今は気にしても仕方ないと自分に言い聞かせこのことは忘れるようにした。
「はは・・・」
放課後、僕は珍しく一人で帰った。
「はあ・・・」
今日は酷かった。放課後は呼び出しをくらって、1時間も説教だ・・・
そうして歩いていくと聞き覚えのある声を聞いた
振り向くと
「っっっ!!」
なんと瑠子が不良に絡まれている。
「ちょっと!やめてください!」
「いいじゃね~かよ~お嬢ちゃ~ん」
「へっへっへ」
瑠子が不良に絡まれるなんて珍しい
・・・なんて思ってる場合じゃないな。
「やめろよ!嫌がってんだろ!」
「ああん?」
「あ、悠ちゃん!」
「なんだおめぇはよ、こいつの知り合いか?」
「ちっ!男連れかよ・・・」
まあ僕が瑠子の知り合いと分かると不良たちはすぐに帰って行った
「ありがとう、悠ちゃん」
「いいよ、それにしてもあの暴力的な瑠子が不良に絡まれるとはね~・・・ぶっ!」
「もう・・・悠ちゃんのバカ!」
「いった~、ごめんごめん」
そんなこんなで僕たちは帰った
「悠君・・・ひぐッ」
「そんな泣くなよ。仕方ないだろ、家の都合なんだから」
「で、でもっ」
「大丈夫、たとえ離れても僕たちはずっと友達、だろ?」
「うん!」
あの夢だ・・・
こんなことあったかな・・・
朝、僕は必死に記憶の中を探った。
「ん~、思い出せない。友達が引っ越すなんて滅多にないんだけど・・・」
ピンポーン
家のチャイムが鳴った
「ん?瑠子かな?はいはーい」
がちゃ
そこにいたのは瑠子ではなかった。なんというか、ものすごく可愛い子だった
「おはようございます。」
「えと・・・おはようございます」
「隣に引っ越してきた、橘花蓮といいます。よろしくお願いします。」
「僕は西島悠稀。こちらこそよろしくね」
可愛い子だな、見た目は僕と同じくらいだけど転校してくるのかな?
「君、何年生?」
「高二ですけど?」
「じゃあさ、もしかすると西成高に行くのかな?」
「ええ、まあ」
やっぱりそうか。まあこの近くに高校なんてあそこくらいだし
「僕も西成なんだ。君と同じく高二。よろしくね」
「そうなんですか・・・よろしくお願いします」
僕は疑いもなくただのお隣さんだと思っていた。
僕はまだ知らない。この美少女が過去に忘れし、大切な人であることを・・・