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烏
(烏・・・)
烏たちが清水寺の方へ飛んで行った。
「いい男じゃけ!!!」
蛍が突然花の肩を叩いた。
自動販売機から少し離れたところで、黒いコートを着た男二人がいる。一人は黒澤修二だが、もう一人は知らない顔だった。
花と蛍がハイヤーから降りると、先に黒澤がこっちを見た。
その場で立っていると、二人がこちらの方に歩いてくる。
「あかん!あかんわ!」
蛍が興奮しながら、いきなり後ろを向いた。
「おおきに」
先に知らない男の方が言った。見ると、白いスリッポンを履いている。
「谷田裕次郎と申します」
「はぁ・・・」と花は答えながら、まだ後ろを向いている蛍の背中をたたいた。
「ほ、ほ、ほたると申します」
蛍は焦って前を向いてそう言った。
「ほたるさんと、姉さんは?」
谷田に聞かれて、花は黒澤の方を見た。
穏やかそうな面持ちの谷田だが、特に微笑んではいない。
「花・・・」
花は、黒澤の思惑をはかりかねた。
蛍が代わりに、「よろしゅう・・・」と言った。




