第7話:運命のヒロイン、現る…でも僕は静かに過ごしたい
> 「あ〜…今度こそ静かな一日を……」
カイトはベンチに座り、木陰の下でのんびりとリンゴジュースを飲んでいた。
昨日の“婚約騒動 in ベーカリー”のトラウマを消し去るように、現実逃避中である。
> 「今日は絶対誰にも会わない。何があっても絶対に——」
「——カイトさん?」
> 「またかよ……!」
振り返ると、そこには美しい金髪に蒼い瞳、そしてどこか懐かしい雰囲気を持つ少女が立っていた。
> (え……セリーナ!?)
彼女はまさに、カイトが前世で自分の小説に登場させた“正統派ヒロイン”そのものだった。
---
「お会いできて…本当に嬉しいです。やっと見つけました……あなたを。」
彼女の目には涙がにじんでいた。
カイトは内心でパニック状態だった。
> (ちょっと待て!お前、俺が創ったキャラだろ!?え、まさか記憶持ってんのか!?)
---
「前に…助けてくれましたよね? あの魔物に襲われた時…」
> 「あっ、ああ…あれは…たまたま通りがかっただけで…」
(やべぇ…あの時、うっかり助けちゃったのがバレてる!?)
---
「その時から…私、ずっとあなたのことを——」
> 「ストップ!ストーーップ!!」
> 「静かに!俺の平穏な日々が!!」
---
【システム通知】
《新たなフラグが発生しました:正統派ヒロインとの運命の再会》
《現在のカイトの感情:危機感MAX》
《フラグ濃度:ラブコメ暴走レベル》
《ラブ勢力図:ルシア vs セリーナ(勃発)》
---
その瞬間——
「カイトさぁ〜ん!!♥」
あの“黒い爆弾”、ルシアが遠くから全速力で突進してきた。
> 「おい待て、こっちは正統派ヒロインなんだぞ!?」
> 「ヒロイン?ふふん、じゃあ私は【悪役令嬢(ヤンデレMAX)】ですから ♥」
> 「うわああああ!!なんでこうなるんだああああ!!」
---
【システム警告】
《同時進行ヒロイン出現数:2》
《推定イベント:修羅場》
《推奨行動:とりあえず逃げろ》
---
> 「……誰か俺に、孤島の隠れ家をくれないかな……」
---
次回予告:
カイト、街から逃走!
しかし待ち受けていたのは——まさかの“ヒロイン合宿”!?
次回「休みを求めて三千里」、お楽しみに!
---