第4話:絶対に関わりたくない主人公パーティーとの遭遇
第4話:絶対に関わりたくない主人公パーティーとの遭遇
> 「なんでついてくるんだよ……?」
> 「お世話するためですよ〜」
(にっこり)
今朝、カイトはちょっとした買い物に出かけるつもりだった。
だが、部屋のドアを開けた瞬間、そこにはルシアが立っていた。まるで一晩中見張っていたかのように。
> 「……お前、寝てないのか?」
「大丈夫です。目を開けたまま、貴方のことを夢見ていました」
「……ああもう、怖っ!」
---
【町の中央広場・噴水の前】
今日は“主人公パーティー”による大型モンスターハントの任務発表会だ。
多くの市民が集まり、世界の英雄たちに拍手を送っている――
レイ:光の剣士、パーティーリーダー
アイリス:回復系聖女
リオン:天才魔導士
その他キラキラメンバーズ…
カイトはこの場を静かにスルーしようと考えていた。
だが――
> 「あれって……魔獄監獄から脱走した悪役令嬢じゃないか!?」
「隣の男は……誰だ!?」
主人公パーティーが一斉に振り向く。
レイが一歩前に出て、厳しい顔で叫んだ。
> 「そこの君! 彼女から離れなさい!」
> 「は? なんで?」
(カイト、眠そうにあくびしながら)
> 「彼女は世界級の犯罪者だ!」
「もし君が洗脳されているなら、今すぐ助ける!」
> 「洗脳なんてしてません。私はただ、彼を愛しているだけです」
(ルシア、天使のような微笑みで。でも中身は地獄級)
> 「ならばなおさら、君を引き離さねば!」
レイが突進する。
手には光を放つ聖剣――だが。
> 「……はぁ」
カイトがため息をつき、ゆっくり片手を上げた。
---
【システム通知】
《スキル「意図せぬ事態の緩和」発動》
《使用魔力:0.01%》
《効果:英雄級の聖剣 → ピンク色のおもちゃの剣に変化》
---
> 「はあああああああ!?」
レイが自分の剣を見て叫ぶ。
それは見事なプラスチック製ピンクソードだった。
> 「誰だ!? 誰がやった!?」
> 「えっ……ぼくじゃないよ」
(カイト、手を後ろに隠しながら)
すると、アイリスがヒーリングの聖典を構えて前に出る。
> 「緊急時……ならば私が精神魔法で――」
> 「おやめください」
ルシアがそっと手を伸ばす――ただそれだけで、
---
《スキル「愛による威圧」発動》
アイリスは“嫉妬魔王級プレッシャー”を受け、即座に昏倒。
効果:即気絶
> 「カイト様に近づくことすら許されないのですね……」
(ルシア、腕を組んでしがみつく)
「私は貴方を、ほんの少しでも独占したいんです」
---
噴水前の広場は、凍りつくような沈黙に包まれた。
カイトがまた何かを言おうとした瞬間、システムが割り込む。
《⚠️警告:ユーザーのストレスレベルが限界に接近中》
《推奨行動:部屋に戻り、甘いものを食べて寝ること》
> 「……もう寝るわ」
(何事もなかったように、その場を立ち去る)
主人公パーティー:ぽかん
市民たち:目が点
ルシア:無言で日傘をさしながらついていく(曇ってるのに)
---
【エピローグ】
《カイトの対主人公パーティー評価:脅威レベル「測定不能」》
《市民からの印象:「悪役令嬢を従える謎の男」》
《カイト:静かな生活 → 失敗》
《ルシア:本日の満足度=120%》
---