ジュリアとガリオン(6)
本編『光と影ー織りなす夢の形』(完結済)のスピンオフ短編集となります。
本編ではあまり描かれていないジュリアの相棒ガリオンとの話になります。
ジュリアの幼少期からの訓練とガリオンとの関係を描いた事件簿
そして、BFFとなるイメルダとの馴れ初めなど、
本編では公開されていない話を特集しました。
ジュリアファンの皆さん、是非お楽しみください!!
ソフィアはゆっくりと狙いをつけレーザースナイパーライフルを撃った。
スピーダーは空中で爆発し散っていった。
こうしてガリオンとツインズの活躍でメイルアンドロイドの反乱は鎮圧されたのだが、
ソフィア&ジュリアの名前はメイル反乱分子の間で記憶されることになってしまったのだった。
逆にこの乱は現状の政府に不満を持つメイル至上主義結社の中では聖戦と呼ばれることになり、
ツインズは忌むべき悪魔と位置付けられたのであった。
そして、この一件以来、ソフィアとジュリアに対する暗殺行為が続くことになったのだ。
実はこうした理由により、2人は未来社会から80年代にタイムトリップしてきたわけである。
2人の能力的にはアンドロイドにやられる可能性は極めて低いのだが、
その妨害行為により彼女らの自由がなくなってしまったことと、政府的には『それなら、過去に
行ってもらってその根本となる芽を摘んでもらおう!』という判断になったのだった。
ということで、
ツインズとガリオンがこのパラレルワールドの80年代にタイプトリップしてきたのだ。
突如80年代の湯沢ガバメントビルに現れた2人とガリオンは、一旦政府により拘束されたのであるが、
ソフィアの説明により当時の国家代表である属氏の特別顧問となった。
しかしながら、さすがにガリオンがこの都市国家の高層ビルを闊歩することは叶わず、
ツインズの指導でこの時代の技術を駆使したガリオンの定宿としてのホバージェットが作られたのだった。
そして、ホバージェットという水陸両用の武装可能な乗り物は日本政府の登録商標となり世界中に広まっていった。
ソフィアとジュリアは首都湯沢のタワマンのほぼ最上階に部屋を個別にもらったのだが・・・
ジュリアはガリオンと一緒に時を過ごしたいが故に、日本政府からの依頼を受けつつホバージェットでの放浪が彼女のスタイルとなったのだった。
一種の任務としてジュリアが派遣されたのが連合ヨーロッパ支部である。
ヨーロッパは核攻撃の標的となり都市は破壊され放射能汚染にて多くの人命が奪われた。
残った人類で自由連合のヨーロッパ支部を作ったのであるが、拠点が散在しスペインのロンダ支部がメインとなっていた。
海路陸路と長旅をしてジュリアのホバージェットはスペインに着いた。
もちろんガリオンも一緒である。
そして、砂漠と化したアンダルシアをロンダに向けて走っていた。
『すごいわねー 見渡す限り砂漠・・・ いったいどこにロンダ支部の入り口があるんだろう・・・』
しばらく砂漠の丘陵地帯を走っていると巨大な堅牢なゲートが見えてきた。
『あっ、あれね!』
彼女の識別番号の確認が終わると大きな金属製ゲートはゆっくりと上に上がっていった。
そして、その先にはガレージが見えてきた。
番号を指定されたため、その番号が割り振られた格納庫を探していると
連合のミリタリーカラーのホバージェットが止まっているのが見えた。
カーゴタイプなのでジュリアのものより一回り大きめである。
そして『あっ、その隣ね!』と独り言を言いながら駐機した。
ここからはガリオンを連れてはいけないためスリープモードにしたり
ハッチを開けて自分自身の武器やリュックも用意していると、
「あんた、ここ初めて?」という声に振り返った。
すると、そこには筋骨隆々な強そうな女性が立っていた。
肌が褐色で黒髪ロングのスペイン人に見えた。
「ええ、そうよ。何か?」
「やっぱり! 私のホバージェットを見てここに駐機したんだと思うけど
このガレージはその奥に入れるのよ!私らはこれから出るからここに止めてるだけ。」
「あっ、そうなのね。 この先ね? わかった、親切にありがとう!」
そして、その女性はホバージェットに乗って去っていってしまったのだった。