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04 冷めたホットコーヒーは……

 



 04


 わたしは歩いていた。

 いや、正確には女を連れて……だ。


 得体の知れない力にわたしは恐怖し、恐れ、畏怖をした。いや、違うな。

 本心は違う。


 ──────

  化け物

  ──────


 だろうか?


 女が化け物という訳では無い。


 どちらかと言うと私だ。


 この女を利用したい

 この女を使って儲けたい

 この女を使って富を得たい

 この女を使って……



 どす黒い感情が渦を巻いて私の中を駆け巡り

 優しい声で囁きかけてくる。


『お前は選ばれたのだ』……と



 ふと我に返ると、自身の頬を軽く叩いた。


 じんわりと痛みが頬を伝う。

 もしかしたら涙を流しているかもしれない。


 それほどまでに強く叩いたか?と錯誤する余裕なんかはありはしない。

 まるで、何も行動を起こしていないのに宝くじで1等を何枚も当てた気分だった。



 女はそんな事は露知らず閑散とした町中を見渡していた。

 人気は少ない。

 いつもと何ら変わり無いはずのこの汚らしい町はどこか、いや。考えすぎか。


 喉元に鋭い刃を向けられているような感覚というのだろうか、焦燥感というのか?


 さも、金塊をぶら下げた犬畜生と思われて……その家の角から屈強な男たちがずらりと出てきて私を殺すのではないか、いや……。


 兎にも角にも、不安だった。




 ドヤ街を抜けた。

 いや、抜けたと言っても町の雰囲気が変わっただけと言った方が感覚的には正しいか。


 チラホラと活気のある商店街が見え隠れし始めた。野菜や肉、陶器なども売っている言わば誰かの言葉を借りて言うとすれば闇市を水で薄めたみたいなところだろうか?

 先の腐った街中よりは幾分かマシと言えるだろ。と、言いつつ私の家もこの辺りなのだから自分自身もはんぶん腐りかけと言ったところだろう。


 わたしは女を家に上げ詳しく話を聞くことにしたのだ。


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