9話 『ビューティーコンサルタント』
スマホの時計を食い入るように眺める。
今の時間は23:59である。
俺が検証しておきたかったのはこのサイト、一日おきに買えるようになるようだが、それは果たして一日のいつ更新なのかを知っておきたかったからだ。
出来る限り早く超能力を買いたいという想いが大きいが、まぁ、建前は検証という事だ。
明日は学校もバイト休みだし存分に超能力を試してみることが出来る。
スマホの時計が0:00を示した瞬間、俺はあのサイトを開いた。
いつまでもあのサイトと言っていては分かりにくいので、これからは超能力サイトと呼ぶことにしよう。
超能力サイトを開くとそこにはさっきまでは無かったQRコードが映し出されていた。
ほう、やっぱりこのサイトの更新は0:00なのか。
1日1回と言っていたのでもしかしたら前回購入した時から24時間後に買るようになるのかもとも思っていたが、違ったみたいだ。
だが、一刻も早く次の超能力を手に入れたかった俺にとっては僥倖だ。
俺はすぐに超能力サイトに支払いを済ませ、超能力を書い、変化する画面を眺めた。
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『ビューティーコンサルタント』
容姿を客観的に分析し、美の長所と短所を明確にする。
その目は、髪、肌、表情、仕草すべてを的確に見抜く。
“美”の可能性を最大限に引き出すための、厳しくも的確なアドバイスをあなたに。
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「んー、なんだこれ?」
まずビューティーコンサルタントという言葉の意味が分からなかったので、とりあえずそれについて調べて見た。
ふむふむ、簡単に言ったら相手を分析してメイクなどのアドバイスをする人のことなのか。
超能力の説明文にも似ような事が書いてあった。
俺にはビューティーコンサルタントとしての能力が付与されたということなのだろうか?
とりあえずスマホのカメラ機能を使い、俺自身の顔を見てみる。
うん、中の下って感じだ。
『ウェイトポーチ』の例からどうやら超能力を使うには何かをイメージしなければいけないみたいなので、何となく顔を評価するようなイメージで顔を見て見た。
そうすると、頭の中に文字が浮かんだ。
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目:目つきが悪い 15/100
眉:整っていない 10/100
鼻:普通 40/100
口:血色が悪い 20/100
輪郭:痩せ型 42/100
肌:色白 46/100
髪:伸びすぎだしボサボサで整っていない 12/100
総評:陰キャ 30/100
ポテンシャル:60/100
ちゃんと整えればそこまで悪くない顔です、しっかりしましょう。
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やかましいわ、誰が陰キャじゃ。
…………や、まぁ、あってはいるんですけどね。
ふむ、そうか、この超能力は自分の容姿を数値化してみることができると。
んー、使えるかは微妙だな。
容姿と言っても色々あると思うし、どの観点で点数を付けているのか不明だ。
それにこういうのが好きな人だっているだろうし…………。
そんなことを考えながら自分の顔を眺めていると、頭の中に追加情報が入ってきた。
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子供ウケ:△
大人ウケ:△
女性ウケ:△
男性ウケ:△
ポテンシャル:男性ウケ
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はいはい悪かったねどの観点でも微妙な顔面で!
はぁ、こういう感じだったら多分他の人の評価も見れるのだろう。
俺は他の人の顔をネットで調べ色々見始めた。
やはりモデルや芸能人の人などはかなり高い数値を持っている人が多く、逆に誰が見てもブサイクな人は流石に俺よりも低い数値になっていた。
そして、度々こういった数値を見た。
目:メイクによって二重になりパッチリ見え可愛い。82(56)/100
こういった点数の横にカッコで別の数値が書かれているものだ。
恐らくこういったものはメイクなどで加算された数値とメイクなどをしていない数値ということだろう。
別にメイクを否定する訳では無いが、こういうので他の人を見るとその点数が離れていれば居るほどメイクが濃いということであってなんかちょっと思う所があるな。
まぁ、他の人の評価ばかり気にしていてもしょうがない、自分を見なければ。
評価の中では眉や髪の評価が低かった。
ろくにケアもしていないのでしょうが無いとも思うが、逆に考えればケアすればすぐに数値も上がるということだ。
そういえばココ最近は髪を切っていなかったな。
命に前髪が長い子だとか思っていたが、よく考えてみれば俺も結構長いのだ。
入学した時に1回切ったっきり1回も切りに行った記憶がない。
そこまで容姿に気を使っていなかったので気になっていなかったが、よく良く考えればちょっとやばいな…………。
髪が長ければその分使うシャンプーやコンディショナーの量も増えてしまうし経済的では無い。
不潔な印象も着いてしまうし、ここはひとつ、髪を切りに行こうか、今日は休みだしちょうどいい。
えっと、近くの格安の理髪店の開店時間は…………。
俺がスマホで1000円くらいで髪を切って貰えるお店を調べようとしていると、頭の中にまた別の情報が入ってきた。