86話 第二夜
さて、結論から言おう。
特に何も起こりませんでしたぁ!
まず、頼りの綱(?)であった紫恵はベッドに入って早々寝てしまったのだ。
いやまぁ学校終わりで多少疲れているのは分かるさ。
だが、俺達も子供じゃないし、少し位夜更かしは出来るだろう。
…………だけどあの子、見事なまでの爆睡をかましていやがりましたよ。
それはもうちょっと色々ガールズトークをしようとしていた命がしょんぼりする程度にはすごい速さだったのである。
「…………私達も寝よっか」
「…………そうだな」
俺は友達とお泊まりなんて意味での人生で一度もした事がなかった。
漫画や小説の世界では友達とのお泊まりなんてそりゃもうキラキラしたもので、恋バナしたり枕投げしたりカードゲームしたりともう色々やるものなのだと思っていた。
それは命も思っていたのか、2人してちょっと落胆した様子で眠りにつくことになった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
その夜も夢にて報復を続ける事にした。
前回だけでも十分トラウマを与えることが出来たと思うが、やはりそれだけでは足りない。
前回だけでは俺がやり足りないという気持ちもあるが、それ以上にやはり前回のものだけではもしかするとその恐怖が命に向かうかもしれないと思ったからだ。
彼らがトラウマになっているのは命ではなく俺だ。
そのため勘違いして攻撃の矛先が俺ではなく命に向いてしまうかもしれないと思ったからだ。
元々は命に恨みを抱いている人間な訳だしそういう事が起こったとしても何らおかしくない。
そうなってしまえば本末転倒だ。
今回、それからここから毎日様々な方法であいつらにトラウマを植え付けていく。
前回は『キミイロ』のメンバーに協力して貰ってトラウマを植え付ける試みを試したわけだが、それだけを続けていても真にトラウマとは言えないだろう。
拷問やらなんやら様々な方法を試して奴らに地獄を見せてやる。
それに、もしかするとこれから更に夢に来る人物が増えるかもしれない。
昨日は俺の動画を見てなかったけど今日は見たという命に嫌がやせをしてきたヤツらも居るだろう。
そうなればそいつらにもしっかりとトラウマを植え付けなくてはいけない。
『ドリーマー』を使うのは少し疲れる。
この前起きた時にステータスを見た時には集中力のステータスがかなり下がっているのを確認できた。
つまり『ドリーマー』を使うにはそのステータスが必要なようだ。
夢の中の世界だとなんでも好きに出来てどんな力も行使できると思っていたが、やはりそんなことはなく、この集中力のステータスに応じて色々出来るようになるのだろう。
この前使った警備員のように俺の無意識で色々なことを行ってくれる夢のステージに元々付いている機能を効果的に使用する必要がありそうだ。
以上のことを踏まえ、俺はもう一度『ドリーマー』を使用した。
今回もとりあえず前回と同じようにライブ会場を創造し、そこに命に嫌がらせをした連中を閉じ込めた。
顔ぶれは七、八割はこの前と同じメンツだが、ほんの少し、数でいえば十数人だけこの前と違う人が混じっていた。
この前この夢を見せた奴らはここに来た瞬間に発狂したりガタガタと震え始めたりしたやつもして実に滑稽であった。
ただ、前回も居たにも関わらずまだこちらに敵意を向けているように見えるものも居た。
俺の事をきょろきょろと探し回り、今にも殺そうとするくらいの勢いだ。
前回の事もあるので、今回は手早く前回と同じ状況に持ってくる。
やはり使用ごとに使いやすさは上がっていて、初めて使った時と比べれば明らかに色々なことが出来るようになっていた。
他の観客を消してからのそいつらの反応は三者三様で、この前みたいに俺に向かって来るやつ、体は震えて動けないがその中でも目だけはこちらを睨み続けるヤツ。
それに、完全に戦意喪失しておりただガタガタと地面に向かって震えているやつや泣き叫ぶやつなどだ。
あ、あとそれともう1人…………この前の大柄な男だ。
こいつはなんというか…………もう伸びてしまってるな。
泡を吹いて気絶しているようだ。
ま、あんな事をしたあとなんだ、また前回みたいに向かってこられても困る。
そして何より驚いたのが……『キミイロ』のメンバーの1人が俺の制御から外れていたのだ。
恐らく俺の動画を見てしまったのだろう。
……こうなってしまえばもうこの子は使えないな。
その子以外のメンバーは相変わらず動画のように踊り続けている。
サクッと制御から外れた子は別の夢へと飛ばし、俺は他の奴らの相手をすることにした。
ちなみに飛ばした夢は命の可愛さを俺に聞かされ続け、命に最大限の支援をしろという内容の話を永遠に聞かされるという夢である。
地獄ではあるかもしれないが、少しでも命への嫌がらせを辞めさせるためなんだ、諦めてくれ。
さて、ともかく今日もこいつらに色々と拷問していきたいとおもいます!
今日はどんなことをしてやろうか、そんな事を考えながらそいつらに迫っていき、彼等は今日も地獄を見る………はずだった。




