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俺だけ使える1万円で超能力を買える怪しいサイトを見つけたら人生が変わった件  作者: 黒飛清兎
第一章 『1日1回1万円で超能力が買えるサイト』
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78話 夢の中のライブ会場




気持ちが少し昂っているのを感じながら俺は夢を操作する。

この夢を操作するのは二回目だが、なんだが一回目よりも上手く扱えるような気がする。

一回目は何もかもが分からない状態からのスタートだったから仕方が無いのだが、それにしても二回目の上達具合が全然違う。


これは『成長の恵み』の効果なのだろうか?

他の様々な面でもこの超能力は非常に有用に働いてくれているからぶっちゃけこの超能力だけ持っていても将来非常に有望な人間になれそうだ。


兎も角、夢を操る能力が上昇してくれたのは僥倖だ。


俺はある場所を想像し、それを夢に出現させる。


音が鳴り響き、まばゆい照明が交差する、熱気と興奮に包まれた場所………ライブ会場だ。

現実では行ったことのないような場所だが、そこにいる人物たちのお陰かなんだが非常に完成度の高い場所となっている。

観客席は見渡す限り広がり、ステージの上には最新鋭の機材がずらりと並んでいる。

スモークが薄く立ちこめ、レーザーが天井を走り、まるで夢のような……いや、実際に夢なのだが、完璧な空間がそこにあった。


俺はそんなライブ会場の上空に透明化しながら飛行している状態である。

夢だからこそ出来るこの場所で俺は下で待機している人々と同じようにステージを眺める。


しばらくすると、観客のざわめきが次第に熱を帯びていく。

会場の照明が一瞬、すべて落ち、静寂に包まれる。

その刹那、ステージ中央に三つのスポットライトが鋭く突き刺さる。


「行くよ、みんな……!」


どこからか響いたその声と同時に、爆発するような光と音が会場を満たす。

レーザーが弧を描き、スモークが舞い上がる。

その中から現れたのは、三人組のアイドルグループ『キミイロ』だ。


その瞬間、会場がわぁっと沸き立つ。


アイドルグループ『キミイロ』、命がこのアイドルグループのカバー曲をあげ、炎上した、それが全ての始まりだったのだ。


俺は空からステージに降り立ち、透明化を解除する。

その瞬間、会場に先程までの声援とは違うざわめきがまじる。

大して俺の目の前に居る『キミイロ』のメンバー達は一切動揺を見せる様子はなく、そのままライブを続けようとしている。


その姿はまるでこの前調べた時に見たあのライブ映像と酷似していた。

…………いや、そのままライブ映像なのだろう。


『キミイロ』のメンバーは俺の事を見た事は無い、それはこの様子から見ても分かる。

おそらく、俺の事を見たことが無い人物が俺の夢の中に出てきた場合、完全に俺が作った物となるのだろう。


俺は『キミイロ』のメンバーが動きを止めるように想像する。

すると、『キミイロ』のメンバーは電池の抜けた動く人形のようにいきなりガクッと力が抜けたように停止した。


…………やはりな。

どうやらこの『キミイロ』のメンバーは完全に俺の制御下にあるようだった。

そうなれば、都合がいい。


俺はくるっと踵を返し、ステージから観客席へと視線を移す。


観客席を見れば一目瞭然であった。

観客達は『キミイロ』のメンバーが完全に停止しているのにもかかわらずあの時のライブのように応援を続けている。

中にはオタ芸のようなものをしている人物すらもいた。


…………だが、その中にポツリポツリと不可解な動きを見せている人物がいた。


「…………あは、見つけたよ」


俺はそいつら一人一人をよーく見る。

うん、顔は覚えた。


ここは夢の中であり、俺の指示通りに動いていない自分、すなわち自我がある人間は俺の事を見た事がある人間という訳だ。

この中にもただ偶然俺の事を見たことがある奴らも居るかもしれないが、まぁ、そいつは不運だったということで…………。


とりあえず俺は『キミイロ』のメンバーに先程と同じようにライブを続けさせ、その代わりにさっき見た奴ら以外のただのモブとして観客席で応援を続けていた人間を掃ける。


これで、誰が俺の目標の人物なのかが一目瞭然だ。


俺は出来る限りの笑顔を浮かべて高らかに演説を始める。


「どうも! クソ野郎の皆さん! 齋藤です!」


俺がそう言った瞬間、そいつらは三者三様の様子を見せた。

戸惑うもの、苛立ちを見せるもの、怯えるもの、みんな非常に面白い様子だ。

中には普通にキョトンとしている人物もおり、その人は多分この件に関係ないので先に帰すことにしておいた。


………さて、残ったのは……30人程か。

こいつら全員が過激に命に嫌がらせをしている訳では無いと思う。

ネットだけの口だけ野郎が大多数だと思う。

だが、それがある人には現実の凶器と同じだけの攻撃力を持っているということが分からない以上クソ野郎という事には変わりない。


「はい、昨日の夜言いましたよね…………これから何が起こるかは察して頂けるかと思います」

「……っ! ふざけるなっ!」


俺が気持ちよく話していると観客席の少し奥の方から激怒しながら走ってくる少し大柄の男がいた。


…………楽しくなってきたよ。

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