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俺だけ使える1万円で超能力を買える怪しいサイトを見つけたら人生が変わった件  作者: 黒飛清兎
第一章 『1日1回1万円で超能力が買えるサイト』
51/129

51話 ご飯だけでも



それで…………どうしてこうなった!?


俺の右隣にはカースト上位ギャルである紫恵が、そして左隣ではピンクの髪を隠したサブカル美少女である命が歩いている。

そして、俺が今歩いている道は俺がいつも使っている道では無い。


きっかけは授業が始まる前に遡る。


授業が始まる前、2人の女性に挟まれた俺はまるで蛇に睨まれた蛙のようになっていた。

2人ともなんか顔が怖いし、なんか俺が口出ししていいような雰囲気でも無いから俺は1人きゅっと口を閉ざして干渉しないようにしていた。


「…………ね、それでいいでしょ、彩斗くん!」

「……あぇ、ごめん、聞いてなかった」


我関せずの構えを貫くあまり2人の会話をほとんど聞いていなかったが、紫恵のその発言によって無理やりその会話に入ることを余儀なくされてしまうのであった。


「えぇ? じゃあもう一度言うけど、命ちゃんだけ彩斗くんを家に呼ぶってのは不公平じゃん? だからさ、今日は私の家に来るって事にしようと思うの」

「…………いや、分からん」


うん、聞いてみても分からないぞ?

え、てかなんで紫恵は俺が命の家に行ったことを知ってるんだよ、そんな話し誰にも…………。


そこで俺は命の方を見つめる。

そして、耳に口を近づけて小さな声で話す。


「命、お前、話したのか?」

「え、うん」

「…………」


いや、まぁ、話すなとは言ってなかったけど、あの流れだったらあの事は2人だけの秘密って事になるんじゃないのか?

え、ていうかどこまで話したんだ……まさか俺が命の家の前で騒ぎ散らかした事まで話してないよな!?

あれを話されたらなんというか俺の人としての尊厳が損なわれるというか、人としてどうかしているというか…………。


俺が焦り散らかしていると、その様子を見かねてか命が俺に耳打ちをする。


「……大丈夫、変な事は言ってないから、ちょっとうちに来て話してたよってだけ」

「……信じるからな?」


命いわく俺の奇行については触れていないみたいだ、紫恵もドン引きした様子でもないし、恐らく本当なのだろう。


俺は少し落ち着きを取り戻す。


「それで、どうなの? 今日は予定とかもだし、家来れるかな?」

「あぁ、俺は大丈夫だけど……夜だろ? そんな遅くに家に行ったら迷惑なんじゃないのか?」

「あぁ、うちは大丈夫、2人とも一人暮らしでしょ? お父さんに連絡したらご飯作ってくれると思うし、泊まっていきなよ!」

「いやいやいや、それはいちばんまずいって!」


年頃の男が女の子の家に行くというのはかなりまずいことだ、これは俺が陰キャだからとかそういうのではなく、普通に考えての話だ。

紫恵の家にはお父さんもいるみたいだし危険でいえばそこまでないのかもしれない。

多分俺は力じゃ紫恵に負けるし、まずそんな度胸もない。

だが、何かが起こって紫恵の心が傷ついてしまうような事態だけは絶対に避けたいんだ、だから泊まるなんてことは出来ない。


「…………根浜さん、それはちょっと危機感が足りてないと思う」

「う、命ちゃんだけには言われたくないよ、女の子一人の家の中に男の子入れるなんて何されてもおかしくないよ?」

「…………私はいいの」

「あー、もう…………それで、どうするの? 彩斗くんもお父さんの部屋でお父さんと寝るなら良いでしょ? 私達が彩斗くんになにかしようとしてもお父さんが止めてくれると思うからさ!」

「いや、逆だろ…………」


別に俺は俺の身の心配なんてしてないんだが…………。

というかそっちから来てくれるならそれはもうご褒美だろ、まぁ、本当に来るなんて思ってないけどね?


「とにかく、泊まるってことは出来ない、これは信頼関係を築く上でも大切な事だろ?」


俺はできるだけ冷静な声でそう言った。

ここで曖昧な態度を取ると、絶対に流されてしまう気がする。


「はぁ……まぁ、それもそうかもね」


紫恵はちょっとだけ残念そうな顔をしながらも、あっさりと受け入れた。

が、それでも俺を家に招くということは諦めていないらしい。


「じゃあさ、ご飯だけでも食べていきなよ、一人暮らしだとあんまり自炊もしてないんでしょ?」

「いや、それは悪いよ、人の家にお邪魔してご飯までご馳走になるなんて、普通に家で廃棄食うし大丈夫だって」

「え、いっつも廃棄しか食べてないの…………?」

「え、あ、いや、そんな事は…………」


割と図星だったため言い返せずにゴニョニョ言っていると、俺に追撃が加えられる。


「いいじゃん彩斗くん、根浜さんもああ言ってるんだし、ご馳走してもらおうよ」

「く、命まで…………」


味方だと思っていた命の突然の裏切り(別に最初から味方とは言っていない)にあい、俺はそれ以上言い返せなくなってしまう。


「はい、じゃあ決定ね! 今日の帰りにうちに寄るってことで!」

「…………分かったよ」


俺は渋々了承する。

紫恵はその後すぐにお父さんに連絡を入れ、了承を得た事を俺たちに伝えてくれた。

なんというか、友達の家に行くのすら初めてなのに色々過程を吹っ飛ばしている気がするな…………。

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― 新着の感想 ―
うーん、自信がなかった陰キャが一回部屋に行って仲良くなっただけで 信じるからな? と上からの勘違い言葉を吐けるだろうか? 男が女にマウントポジションを取るにはこの主人公は自信がない描写を丁寧にしすぎ…
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