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俺だけ使える1万円で超能力を買える怪しいサイトを見つけたら人生が変わった件  作者: 黒飛清兎
第一章 『1日1回1万円で超能力が買えるサイト』
24/129

24話 『好印象の恵み』



「…………じゃ、俺品出ししてくるからさ、志賀さんはレジお願いできる?」

「うん、わかった」


俺は命にそうとだけ言って品出しをしに行く。

どっちがいいか聞いたらレジと言っていたのでこういう分担にする事になった。


はっきり言おう、なんだかとっても気まずい。

いやまぁ口下手どうしが2人集まって何か話せるかって考えたらどうやったも話せるわけなんか無いんだけどね?


俺が昼勤に入っている人は一緒に入っているおばさんが良く話しかけてくれるから何とか間が持っている。

おばさんが居る時ならただ話された内容に合わせて何か少しだけでも喋れば良いだけなのだが、そもそも話しかけて貰えないという状況ならどうやって会話は生まれないのだ。


俺は荷物を置いている場所でこっそりとスマホを起動した。


俺のスマホの電子決済アプリには1万円とちょっとが残っている。

今月必死に節約した結果だ。

このお金を使ってしまえば恐らくここからの数日間、食べるものが無くなる。

廃棄を貰って食べることは出来るのでそこまで空腹になることは無いかもしれない。

だが、一応これはクリスマスに少し贅沢なものでも食べようと思っていて取っておいた物だ。

このバイトが終わったらこのコンビニで何かちょっと美味しいものを買って事務所でケーキと共に食べようと思っていたのだ。


しかし、今この気まずさのまま時間を過ごすのも耐え難い。

というか、ずっとこの空気感だったら命に嫌われてしまってもおかしくないんじゃないかと思う。

ここで俺が超能力を神引きして、例えばなんか話が一生続けられるみたいなそんな感じの物を引き当てることが出来ればこの状況を1発で打破する事が出来る。

しかも話ができる人だと言うことで命とももっと仲良く出来るかもしれない。


悩みに悩んだ結果、俺はQRコードを読み込んだ。


…………うん、仕方ない仕方ない。


変化する画面を祈るように見つめた。

ここで意味わからん超能力が来てしまえばここで買った意味が一切無くなってしまう。


頼む……頼むぞ。


画面が変化し、そこに書かれていたのは『好印象の恵み』と言ったものであった。


はい勝ったー、大勝利ー!

つまり印象が良くなるってことだよな!?

これがあれば命から俺への印象は急上昇って訳だ!


俺はウッキウキな気分でその説明文を読む。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━


『好印象の恵み』

初対面の相手に与える好印象を増加させる。

内面から滲み出る魅力を引き出し、出会った瞬間から関係を円滑に進める手助けをする。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━



あの…………えっと…………。


ぬか喜びさせないでくれるかなぁ!?


俺はムカついて近くにあった空きダンボールをパンチした。

力が弱いためダンボールはちょっと凹むにとどまった、それもまたイライラを増加させる。


いやいやいや、どう見ても今ちょうど使える超能力だと思うじゃん! だってさ、好印象だよ、好印象! どう考えても相手に好印象を与える的なものだと思うじゃん!?

え、なに初対面って、なんでそこだけに限定した!?


「…………ちくしょう」


これだったら今じゃなくて良かったじゃないか、これの為に俺の夕飯は捧げられちまったんだぞ!?

俺は再度スマホの画面を見て、不満そうに息を吐く。

『好印象の恵み』、初対面の相手に与える印象を良くするってことだから、命には効果があるはずもない。

コンビニバイトというものの性質上、お客さんから好印象を得ることが出来るというのはかなりいいことではあるが、言うてもう会うかも分からない人達に好印象を振りまいても命とかに振りまけないのであれば意味が無い。


「いや、まぁ、使えなくはないけどさ……」


正直、今すぐにでも命ともっと仲良くなれると期待をしていたから残念だ。


「はぁ……しょうがない、切り替えていこう…………」


俺は一度深呼吸をして、また商品棚に目を向ける。

今日は品出しの仕事だし、きっとそのままやってれば時間が過ぎていく、お客さんも少ないし、もうこれだけやって終わらせよう。


そう思い、黙々と作業を続ける。

時よりレジの方から聞こえる命の声がいいBGMとなり、退屈なはずの品出しもいつもよりも楽しくできている気がした。


だが、ここで問題が発生した。


「…………あれ、もう終わっちゃった」


そう、入れられる荷物が無くなったのである。

……そうか、恐らく店長が夕勤が初めてな俺に気を使って少なくしてくれたのだろう。

いつもならその気遣いに感謝するのだが、今回だけはそれが裏目に出てしまっている。


さて、どうしようか、このままこの荷物置き場にずっと居るなんてことをしたらサボりになってしまうし、店内の清掃をやるにしても限界がある。


…………どうやっても俺はレジのところに行かなくては行けなくなる。

やることが無ければレジでお客さんの対応をというのがうちのスタイルなので、それには従わなければならない。


結局、俺は他の仕事を見つけ出すことは出来ずにレジに行くことになってしまった。

ちなみに黒飛はコンビニバイトをしています。

サブリーダーです。

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― 新着の感想 ―
勤務中にスマホいじるとはダメな子だな
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