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俺だけ使える1万円で超能力を買える怪しいサイトを見つけたら人生が変わった件  作者: 黒飛清兎
第一章 『1日1回1万円で超能力が買えるサイト』
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20話 紫恵さん!?



時刻は11時頃、俺は待合所のベンチに座っていた。

なんと言うか、ソワソワして仕方がない。

一応呼び出されては居るから来てはいるのだが、どんな感じで入ればいいのか分からない。


カラオケの開店時間は9時なのでもうみんなある程度集まってしまっているだろう。

9時に来てしまったらあれだけ嫌がっていたのにまさか結構楽しみにしてたみたいに思われてちょっと恥ずかしいた思って少し遅めにしようと思っていたけど、遅くなったら遅くなったで恥ずかしいぞ?

もうみんな結構集まってきている中に入っていくのだ、絶対注目浴びるしちょっとキツイ。


だけど、行かなかったら行かなかったでその後どうなるか分からない。

あれだけ俺の事を気にかけてくれている紫恵もいよいよ愛想を尽かしてしまうかもしれない。

いやまぁ、グイグイ来られなくなって清々するかもしれないけど…………やっぱ嫌だ。


それに、この前ちゃんと向き合うと決めたばかりなのにこんなに弱気になっているのはおかしい。

そう、今俺に出来る行動は一刻も早くカラオケに入る事である。

一応お金は持ってきてるから何かあっても大丈夫だ。


「…………よし、行こう」


朝はしっかりと『ビューティーコンサルタント』さんを活用して俺に出来る最大限のオシャレをしてきた。

まともな服を持っていないので服は制服のままだが、それ以外はしっかりと整えた。

眉毛もこの前整えてもらった感じと同じように整え、少し下がってきた眉毛の数値も上昇した。

今は自分史上最高のコンディションなのだ、もっと自分に自信を持ってもいいはずだ!


しっかりとそのことを思い出し、一歩踏み出す。

このバス待合所からカラオケまでは1分ほどの距離である、が、その距離が何キロも離れているかのように感じる。

それでも俺は歩みを進め、やっとカラオケまで辿り着いた。


「いらっしゃいませー」


俺が店に入ると奥から忙しそうに店員さんが出てきてくれる。


「あの、高校の集まりで…………」

「あー、しーちゃんのね、おっけーおっけー、じゃついてきて!」

「え、あ、はい」


最後まで言葉を紡ぐ前に店員さんは何かを察してくれたのか俺をひとつの部屋へと案内してくれた。


「いやー、それにしてもしーちゃんの高校レベル高いね、可愛い子ばっか!」

「あ、はい」

「んじゃ、この部屋だから、お代はしーちゃんからもう貰ってるからね、楽しんでー」


店員さんは軽くそう言ってどこかへ行ってしまった。


…………ここに、みんながいるんだな。

そう思うと一気に緊張が押し寄せてくる。

俺は意を決して扉を開く。


扉を開くとカラオケ特有の騒がしい程のミュージックが耳に飛び込んでくる。

俺はすぐに紫恵を探した。


「…………わっ!」

「おわぁっ!?」


右の方向からいきなり肩を掴まれ、思わず変な声が出てしまった。

肩の部分を見てみると、そこには大爆笑する紫恵の姿があった。


「いやー、よく来てくれたね、来ないかと思ってたよー」

「いや、流石にね…………」

「ほら、みんな! 彩斗くん来たよー!」


紫恵はみんなの視線を一気にこちらに持ってくる。

やめて欲しい。


萎縮しながらも視線の先を何となく確認していると、俺はあることに気がついた。


「あの、根浜さん」

「ん、紫恵って呼んでよ、それかしーちゃん!」

「……根浜さん、ひとつ聞いていい?」

「紫恵かしーちゃん!」

「……根浜さん」

「…………」


思いっきり不機嫌そうな顔になるが、俺はそれを無視する。


「あの、どこを見ても男子が居ないのですが…………」

「そりゃあね、男子がいたらなんか色々拗れるからさー」

「あの、俺一応男子…………」

「うん、そうだね」

「え、いや、え?」


あんれ、話が噛み合わないな。

物凄い勢いで矛盾した会話をしているのにも関わらず、紫恵はさも当然かのような雰囲気を醸し出していた。

紫恵はにやりと悪戯っぽく笑って、俺の困惑する顔を楽しんでいるようだった。


「だってさ、彩斗くんは『特別枠』だから」

「……特別枠?」

「そう、特別枠! 男子だけど、まぁ、うちのグループ的にはセーフっていうか」


セーフって何だよ、アウト寄りだろ普通に考えて。


「……いや、色々まずくない?」

「大丈夫大丈夫、みんな彩斗くんが来るの知ってるから、ね?」


紫恵はそう言って俺の背中をポンと軽く叩く。

ふと部屋の中を見渡すと、確かに女子たちがこちらを見ながら「来た来た」みたいな雰囲気で微笑んでいる。

敵意や嫌な感じは今のところ無さそうだが、それでもこの状況は普通じゃない。


というか、色々まずいのはみんなと言うよりは俺だ、もう今にも緊張で吐いてしまいそうなレベルなんだが…………。

そんな俺の心配をよそに紫恵は俺を広い部屋のど真ん中に置いてある椅子に座らせる。

え、なに、処刑か何かですか?


俺の周りを取り囲む女子達の目には一様に好奇心の色が滲み出ていた。

あぁ、そういう事か、つまり俺は遊びに誘われたと言うよりは、この女子達の生贄としてこの場に連れてこられたという訳ですね。


そうなんですね? 紫恵さん!


俺は恨みがましい視線を紫恵に送った。



紫恵ちゃんも可愛いということを忘れてはならない。


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超能力どっか行った……………
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