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俺だけ使える1万円で超能力を買える怪しいサイトを見つけたら人生が変わった件  作者: 黒飛清兎
第一章 『1日1回1万円で超能力が買えるサイト』
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18話 春が来たか?(今は冬だけど)



12月24日、忌々しきクリスマスイブである。

ここは日本であり、キリスト教徒の人口はその中のほんのわずかしかない。

つまり、異教徒の祭りを何故か日本人が大々的に執り行っているのである。


聖なる夜だかなんだか知らんが、もうそんなもんリア充共の間では性なる夜になっているのだ、そんなものを何故俺が祝わなければ行けないのだろうか?

そもそも俺は小さい頃から親と暮らしていない訳で、そうなると親がクリスマスイブを祝う為に何かをしたりも一切してくれていなかったのである。


そもそも、親の収入によって差が生まれやすかったり、リア充と非リアによって楽しめるか別れるようなイベントを作るべきでは無いのである。

そんなことがあるから世界が憎しみに満ち、戦争が起こるのだ。


と、言うわけで、この時期はわたくし機嫌が悪いのでございます。

本日は12月23日、クリスマスイブイブとか言うやつだ。

イブイブって何やねん。


うちの学校はちょうどクリスマスイブから冬休みになるため、今日が今年最後の授業である。

勿論クリスマスは前夜祭も本祭もどちらもバイトである。

夕勤のバイトが足りていないらしく、とりあえず俺はいつもなら昼勤しか出てないのだが、学校が休みなのでどうせならということで夕勤に出る事にした。

仕事内容は昼勤とほとんど変わらなく、品出しするものがおにぎりやスイーツではなくお菓子などに変わるだけである。

後はレジなどの基本的な業務なので初めてでも問題なく出来るとのことだ。


別にいつも通りに入るだけでも扶養ギリギリなのでわざわざ働きにくい時間に入らなくてもいいのだが、クリスマスの夕勤は特別なものがあるのだ。

それは…………ケーキだ。

クリスマスの期間中は2日ともコンビニでもケーキを売っている。

そしてこのケーキ、毎年売れ残っているらしいのだ。


店長から夕勤に入る事を打診された時、俺は初め断るつもりだった。

ただでさえでも機嫌が悪いのにやったことない仕事なんてやったらもう本当にどうにかなってしまいそうだ。

しかし、そんな時店長がコソッとこう言ったのだ。

"売れ残ったケーキは食べてもいい"と。


俺はすぐさま夕勤に入る事を決めた。

やはり甘いものは世界を救うのだ、その甘いものが無料で貰えるのなら喜んで働くに決まってる。

と、言うことで俺はクリスマスの夕勤バイトに出ることが決まったのである。


授業中、真面目に授業を受けているにも関わらずあまり頭の良くない俺はその内容を完全に理解することは出来ない。

その上、明日と明後日は廃棄のケーキが食べられるということで浮かれてしまっているため、さらに内容が分からない。

テストでは毎回赤点ギリギリの所を攻める形になっているのでしっかり勉強をしなければいけないとは分かっているのだが、そう簡単なものでも無いのだ。


3限目の授業があと数分で終わるタイミング、俺はいつものように教科書など、自分の荷物をひとまとめにし出す。

これも全て紫恵から逃げる為である。

授業が終わった瞬間、紫恵は俺に話しかけてくる。

そのまま話に乗ってしまえば俺は流されていいように連れ回されてしまい地獄を見ることとなる。


チャイムが鳴り、先生が授業の終わりを告げた瞬間、俺は椅子から立ち上がる。

紫恵が追いかけてくるような様子は無い。

よし、今日も大丈夫そうだ、それに、いつものように追いかけて来てる訳でもないし、諦めたのだろう。

となるとそこまで急ぐ必要も無いな。


少し寂しく思いつつも安堵しながら俺は教室から出ようとする。


「はい、残念でしたー!」

「…………え」


俺が教室の扉を開け、外に出ようとした瞬間、目の前に1人の男子生徒が現れる。

この前俺の噂をしていた男子の1人だ。


「な、なに…………」


怯えながらそう聞こうとすると、今度は俺の肩がポンと叩かれる。


 振り返ると、紫恵がニヤニヤとした表情で見つめていた。距離が近い。


「いやー、毛部くん、ナイス!」

「え、あ、え?」

「いやー、いっつも逃げられて話できてなかったからさ、毛部くんに頼んで待ち伏せしてもらってたの!」


何だそれ、用意周到すぎるだろ!?

くそ、さっき追いかけてこなかったのは罠だったのか…………やられた。

それにしてもなんで今日はこんなにも準備をして俺に話しかけに来たのだろうか?

分からないが、ここまで用意してまで俺に話そうとしていることがあるんだ、何とか逃げようとしても絶対に見つかって捕まってしまうだろう。

それならもういっその事諦めて無駄な体力を使わないうちに話を聞いた方が建設的だ。


「…………何の話」

「うわ、すっごい冷たい、私なんかした?」

「…………いっつも追いかけてくる」

「う、確かに、それはごめん、ちょっとでもお話したくて…………」


そう言って紫恵はとても悲しそうな表情をする。

やめてくれ、その可愛い仕草をするのは、心が痛むじゃないか!


「わかったよ、話聞くよ」

「ほんと!?」

「うん、だけどもう夜も遅いし手短にお願いします」

「勿論!」


俺の言葉に紫恵は目を輝かせる。


「えっとね、話っていうのは…………その、クリスマス空いてるかな……って」

「…………え?」



え?

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