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俺だけ使える1万円で超能力を買える怪しいサイトを見つけたら人生が変わった件  作者: 黒飛清兎
第一章 『1日1回1万円で超能力が買えるサイト』
100/129

100話 黄金と黒金



「あーあ、ダメだったかー」


彼……いや、彼女は被っていた警官の帽子を脱ぎ捨て、そのもう片方の手では1人の男を引きずりながら夜道を歩いていた。


「いや、まぁ、ただの人間けしかけただけじゃ殺すとかは出来ないとは思ってたけど…………まさか少しも手を引き出すことが出来ないなんてね…………」


彼女は呆れたように彼女に引きずられる男を見つめる。


「えー、そんなに今回の()()は強いの?」

「まーね…………魔法の一つや二つ使ってくれると思ってたんだけどね…………」

「ま、魔女とはいえいきなり襲撃されたらびっくりするだろうね」


夜の道を少女が二人歩いてゆく。

一方は美しい金色の髪を持つショートカットの少女、もう一方はどこまでも暗い、漆黒の髪を持つショートカットの少女であった。

その姿はそれだけでも特異なものなのにも関わらず、その持ち物が更にその異様さを引き立てている。

男を引きずる少女の手には少女の体よりも明らかに大きな黒い服……つまり、警官の制服が持たれていた。


「じゃあさ…………黄金(ゴールド)だったら勝てると思う?」


もう1人の少女は黄金と呼ばれた少女にそう問いかけた。

黄金はうーんと唸って少し考える。


「まー、夢の中で好きなことをできるっていう魔法しか判明してないわけだし…………まだわかんないかな」

「…………そう、だよね…………ま、でも、僕なら勝てるけどね!」


黒髪の少女はV字マークを指で作って不敵に微笑む。


「ちょっと、僕だってわかんないって言っただけで別に負けるとは言ってないんだけど!」

「へへーん、ダメだよ、僕が先に勝てるって言ったんだから、僕の勝ち!」

「はー!? 意味わかんない!」


黄金は怒って手をバタバタとさせる。

その度に少し宙に舞った男の肺から息が漏れ、おおよそ生きている人が出していい音では無い苦しそうな音が口から漏れる。


「ははは、とりあえずさ、そいつ何とかしようよ」

「そうだね……なんか自分が崇められ始めたからって調子乗っててキモかったもんね」

「うん、なんか僕達を俺の女にするとか何とかって…………流石に僕でもちょっと引いたかな」


黒髪の少女は身震いする。

そして、もう一度話し始める。


「んー、けどさ、普通に処分すると…………ちょっと良くないよね、曲りなりにも色んな人に崇められてるわけでしょ? それにその中には()()()()の人間も居たわけでしょ? …………弱っちい奴だけどさ」

「…………あんなの魔女狩りじゃないよ、本物だったらあんな夢を見せられた時点でもっと抵抗するだろうし、それにこんな変なやつのことを崇めたりしない」

「ま、そうだよねー」


黄金は露骨に嫌そうな顔をし、引きずっていた男の腹を蹴りあげる。

男は意識を取り戻す気配が無かったが、その行動で更にその生命活動を停止に向かわせる。


「ちょ、殺しちゃダメだって!」

「大丈夫大丈夫、こんなんで死なないでしょ!」

「もー、僕達魔女狩りとは違ってこの人は普通の人なんだよ? 一般人なの!」

「あー、はいはい、わかった、わかったって!」


黄金は男をもう一度引きずり始める。

その引きずり方は先程よりも荒々しいものとなっていた。


「あー、そうだ、警察署の前のところに置いておけば良いんじゃない? 」


黄金が何かを思いついたようにそう提案した。


「え? なんで?」

「やー、だってさ、そこに置いておいたら警察官が勝手に脱走したとでも勘違いしてもう1人のいる留置所の中にぶち込んでくれるでしょ」

「あー、それで2人を合わせて殺すってことか…………いいじゃん、そうしたら警察官の方から死亡の発表がされると思うし、崇めてる奴らも納得する……って事だね?」

「そ!」


自分の考えを理解してくれたことを嬉しく思い、黄金は少し機嫌を良くする。

たが、その機嫌の良さは引きずられる男からしたら地獄でしか無かったようだ。

機嫌が良くなったことにより足取りが軽くなり、そのせいで定期的にまた男の体が宙に浮いてしまう。


「んじゃ、警察署まで行こっか!」


黄金が元気にそう言う。

しかし、黒髪の少女はそこまで元気が無さそうだった。


「はぁ、それで、後どのくらいで私のスマホの制限は解除してくれるの?」

「んー、後3人くらい魔女を狩るまでとかでどう?」

「えー!? もう5、6体狩ったじゃん! ちょっとゲーム負けたからってそこまでやる必要なくない!?」

「へへーん、ダメだよー! 負け犬にそんな権利は無いのだ!」

「はー!? そんなこと言って……次私が勝ったらもう酷い目見せてやるんだから!」


黒髪の少女は顔を真っ赤にしながらそう叫んだ。

深夜の街道ではその声は響き渡ってしまう。

その事に気付いた黒髪の少女は慌てて口を塞ぐ。


「ちょっと、怒らせないでよ…………」

「はいはい、流石に一般人は手にかけたくないからね…………もうさっさと行っちゃおうか…………黒金(ニエロ)


黄金は苦笑いしつつ、歩いていく。

黒金もそれについて行く。


そうして2人の少女は街の暗闇へと消えていった。




 遂に100話目!

 ここまで読んでくれた皆様、ありがとうございました!

 完結まで駆け抜けていく予定ですので、これからもよろしくお願いします!

 え? 受験? 知らない子ですねぇ…………。

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