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神社の学校  作者: 碧蜜柑
8/8

狐の嫁入り

とある田舎の村に、祖母、母、娘二人の家があった。


母は、結婚して家を出ていたが、夫の裏切りに遭い(あい)、夫と別れ、一人、娘たちを連れて実家に身を寄せていた。


まだ幼い娘たちを育てるため、母は遅くまで働いていた。


ある日の夕方、庭でガサゴソ音がした。


祖母は下の娘を寝かしつけて、自分も一緒に寝てしまっていた。


上の娘が一人、庭に様子を見に行った。


すると、一匹の子狐(こぎつね)が、庭に干した干し柿(ほしがき)をむさぼっていた。


「きつねさん?」


上の娘が声をかけると、子狐は、目を七色に光らせて威嚇(いかく)した。


「わあ!きつねさんのおめめ、(にじ)みたい!」


ニコニコとほほ笑んでこちらを見る娘の顔を見て、子狐は威嚇をやめ、また、干し柿を食べ始めた。


「そうだ!」


娘は台所へ行くと、おやつに食べて残っていたふかした(いも)を持って戻ってきた。


「きつねさん、おいもたべる?」


子狐は娘の持っている芋を食べ始めた。


それから、子狐はほかの人間の居ない(すき)を狙って、娘の前に姿を現すようになった。


ところがある日、この娘が狐に餌付け(えづけ)しているのを村人が目撃してしまった。


野生生物に餌付けをすることは非常に危険な行為だと、村人は祖母と母に伝えに来た。


それを背後で聞いていた娘は、家を飛び出してしまった。


幼い娘にとって、子狐は寂しさ(さみしさ)を埋めてくれる大事な大事な友達だったのだ。


泣きながら山道を歩く娘を子狐が見つけた。


子狐は娘が村を追い払われたと思った。


全身の毛が波打つような怒りを覚えた。


子狐は、その霊力の限り、体を(ふく)らませ巨大な化け物となって村へ降りた。


子狐は、娘を泣かせた元凶を(さが)し歩くように村中を()り歩いた。


人々は突然の出来事におびえ、震え、家に閉じこもった。


村の(さわ)ぎに気付いた娘が親の元に帰ってきた。


母にしがみついて怯える娘に、この娘を泣かせているのは、自分なんだと、子狐は思った。


大きな大きな化け物は、クーンと大きな鳴き声を上げると、スーッと森の中へ消えていった。


「きつねさん?」


娘には、寂しそうに走り去る子狐の後ろ姿が見えた。


晴れた空にぱらぱらと雨が降った。




その日、神社の横のフリースクールでは、雨が降っていて、午後の実習を行うか否か子供たちが話していた。


「晴れてきた。」


神子(かみこ)の声に、皆が外を(なが)める。


「晴れてるけど、雨降ってるよ。」


愛子(あいこ)が言うと、神子がすかさず言った。


「ああ、狐の嫁入りだね。」


「狐の嫁入り?」


「うん、古い言い伝え。こういう天気の日は狐が嫁入りするんだって。」


それを聞いた愛子は顔を真っ赤にしてうつむいた。


「神子ちゃんも、龍姫(たつき)ちゃんも、狐鉄(こてつ)にはそれ、おしえないでね。」


「え?なんで?」


「なんでも!!!」


愛子は顔を真っ赤にしたまま、教室を出て行った。


神子と龍姫は不思議そうに顔を見合わせた。


外では雨が上がって、虹がきらめいていた。



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