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神社の学校  作者: 碧蜜柑
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龍神の嫁

高木沙良は、幼い頃から、利発で優しい娘だった。


優しい母と父の間に生まれ、下に弟と妹がいた。


弟妹がいるものらしく、世話焼きで、少々おせっかいな面もあるが、優しい。


幼稚園に入っても、変わらず、他の子のサポートや、絵本の読み聞かせなど、買って出るような子だった。


小学校に入ると、勉強ができることも周囲に知られるようになった。


友人にも恵まれ、穏やかな日々を過ごしていた。


だが、沙良が成長とともに美しくなっていくと、男の子たちが沙良をからかうようになった。


沙良は、弟がいたため、あまり気に留めず、笑いながら、やめてよーと言うだけだった。


しかし、男の子たちは、沙良以外にもからかいをしていた。


そういう、年頃だったのだろう。


ある日、男の子にスカートをめくられた女の子が泣き出してしまった。


沙良も慰めていたが、ある女の子がこう言った。


「沙良ちゃんがへらへらしてるから、男の子たちが調子に乗るんだよ!」


沙良は、ショックを受けた。だが、その女の子の言うことはもっともだし、全く嫌じゃなかったわけではなかった。


沙良は、男の子たちに、今後女の子をからかうのをやめるように注意した。


男の子たちは、沙良の態度に逆上した。


仲良くしてやっているのに、なんでそんなことを言われなくてはならないのか。今まで嫌がってなかったじゃないか。


次第に、沙良に対する、恋にも似た憧れのような思いは、憎悪に変化した。


その日を境に、沙良に対し、男の子たちからの嫌がらせが始まった。


持ち物を汚したり、水をかけたり、トイレに入ると、トイレの外から大声ではやし立てるようなこともあった。


初めのころは、女子たちがかばっていたが、かばった子たちにも嫌がらせが向き始めると、沙良は、女子たちに被害が及ばないように、学校では距離を取るように言った。


家族に知られるのも、恥ずかしいやら情けないやら、沙良は、河原で、濡れた服を乾かしたり、汚された持ち物を洗ったりしながら、一人で泣いた。


ある夏の日、学校行事で、河原に来ていた。


沙良は、河原の生き物をスケッチしていた。


すると、ある男子が、沙良を川に突き落とした。


浅瀬だったが、突然の出来事に、思い余って沙良は泣いてしまった。


すると、突然、雷鳴が鳴り響き、大雨が降りだした。


慌てて、避難しようと、先生が沙良の手を引き、土手の上へ連れ出した。


すると、土手の上に上がっていたはずの、男子児童が、草に滑って河原に落ちた。


その瞬間、大きな音を立てて、鉄砲水が流れて、男子児童を飲み込んでしまった。


幸いにも、男子児童は、木の枝に引っかかり、流されずにすんでいた。


その後、病院の検査でも、溺れた形跡はなく、医師が首を傾げた。


ただ、それ以来、沙良に対して、怯えた様子になり、他の男の子たちにも、嫌がらせをやめるように言って回った。


だが、一度壊れた人間関係は、そう簡単には修復せず、沙良は、フリースクールと提携している小学校に転校することとなった。


転校する前日、沙良は夢を見た。


巨大な竜が沙良の前に現れ、こう言った。


「お前を、我の妻とすることにした。お前の災いから守ってやろう。」


ふと、沙良は先日の河原での出来事を思い出した。


守られたのだ、と確信した。


その日から、沙良は、龍神の嫁候補となった。

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