冷たい当たり屋
WEBカメラを仕掛けた。
ベッド脇のケースにお菓子をしまい、部屋や私生活が映らない様にと角度を考え……
〈 だって最近、お菓子の減りが異常過ぎる。
学校生活に必至のお菓子。
特に部活をしている訳でもないのに減るお腹。
そのくせ腹周りには肉が付く。
成長期なのに下ばかり……
上、腹より少し上に付け!
願い空しく見上げる空に願いを込めて。
希望の光が沈むように陽が落ちて、寄り道帰りに家路に着くと、部屋の窓に影。
……影?
ドロボー?
てか、自転車あるから母さん帰ってんじゃん。
でも、まだ何か動いてる。
お菓子が減ってる理由って……
そうだ! WEBカメラ仕掛けたんだった。
スマホスマホ……
え、
嘘でしょ?
誰、この……
男? 女?
あ、このボックスって……
ウーバー?
あっ!
これって、さっきシズが言ってたアレ?
深夜にチャイムを鳴らして来て近所迷惑になりそうな変に高い声で「届け物です!」って叫んでるから仕方なくチェーンを掛けたままにドアを少し開けた途端。
「こちら、ロックオンボーナスです!」
とかって意味の解らない事言って、氷漬けにしたチャッカマンをドアの隙間から差し込んで手渡して逃げて行って……
後でネットを調べたら他にも被害者が居て、警察案件にもなってる俺の心に火を付けた何とかランクの当たり屋……
あれ、名前なんだっけ?
……あ、そおだ!
『 ロックマン。』
確か、ウーバーっぽいボックスを持ってて
帽子を深めに被ってて
裏声みたいな高い声……
声は判んないけど、このウーバーっぽいボックスと帽子。
ヤバい、こいつ絶対ロックマンでしょ。
シズに確認……
いや、お母さん居るのに何やってんの?
あれ?
これ、お母さんが私の部屋に通した?
てか、こいつ何で正座してんの?
妙に礼儀正しいのが、何か、何か……
何なの?
チャイム鳴らしたら反応して来そうだし、そっと入ってお母さんに確認しよ。〉
「ぉ母さん……」
「ああ、おかえり! 栗子、あんたに届け物だって、上で配達員さん待ってるよ?」
「いいや、お母さん! それ可笑しいでしょ!! そいつ絶対ヤバい奴だって! 昨日の深夜にシズがヤラれたロックマンだよ!」
「ん? シズちゃんバンドマンと付き合ってるの?」
「違う、ロックマン! ヤバい奴!」
「言い方位でそんなムキになって、はいはい時代遅れでスイマセン。ああ栗子は若い若い、若くて元気だから夕飯の準備とお風呂洗っといてね。ちょっと買い物行って来る。」
「……いやいやいやいや、知らない人を勝手に部屋へ入れといて買い物に行くって、どんな親よ?」
「え、知ってるんでしょ?」
「はあ? 知る訳ないじゃん。あんな男か女かも判らない人見た事無いよ!」
「見た事無いのにどうして外見知ってんのよ?」
――KONKONN!!――
「あの、スイマセン、私女です。」
「出た! ロックマン。」
「え? シズちゃんの……え、彼女?」
「違う、いや、もう面倒くさっ」
「あの、これ届け物なんですけど」
「氷漬けのチャッカマンなんか要らないから、出てって!」
「あ、いえ、そんな物ではなくて……」
「栗子、出てっては無くない?」
「いや、お母さん面倒臭いから警察呼んでて!」
「あ、ひょっとしてシズって……」
「あああ、そう言う関係?」
「だあ、お母さん面倒臭い!」
「あれは二位までの参加賞です。栗子さんにはこちら、優勝ロックオンボーナス。カセットコンロを、どうぞ! それでは……」
――BATANN!――
「……栗子、あんたシズちゃんと、何を争ってたの?」
「もう、面倒臭い事言わないで……」
「でも、その、ソレ何?」
「氷漬けの……違う、氷の……何コレ?」
「友達を裏切る冷たい女。って事じゃないの?」
「いや、もぅそれでぃぃょ……」
――LINEN♪――
「ん、不審者情報か……あれ? 栗子、これ」
「……ロックマンでしょ?」
「あんた、ちょっとそれ証拠品。今警察呼ぶから、溶かさないでよ!」
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何か思い当たる事がある方は評価の★★★★を付けた後にでも、その下にあるリンク欄の小説と感想までを読んでみると何か違う物事が見えてくるかもしれません。
が、あくまでもこれは別のお話……(笑)