さあ!いざ魔王城へ!!ってアレ??門が開かないんだけど?何これ全然開かないんだけどどうなってんの??
「ここか..魔王の城」
俺は目の前の聳え立つ建物を見てそうつぶやいた。紫色で怪しげな火の玉がウヨウヨと徘徊しているその禍々しい雰囲気の場所はいかにも魔王の城という感じだ。
長かった。勇者に選ばれ魔王を倒すべく色々な試練を乗り越えた。そして今ここにいる。残すは魔王のみ。こいつを倒せば全てが終わるその状況で俺は魔王の城の入り口にいる。
禍々しい雰囲気で黒を基調とした創りだ。後ろには茶色い扉もある。
「行くぞ!!」
ガコン!!
意気揚々と俺は入り口の門を押してみた。だがビクともしない。それを見て俺は「なるほど」と小さく呟いた。さすが魔王城。セキュリティは万全というわけだ。こういうのは何かしらのギミックが仕掛けられていて、それを満たすと開く仕組みだろう。簡単なのだとスイッチ一つで開いたりするが辺りにそういうのようなものがないし違うだろう。だとすると周りの敵を全滅とかだろうか。
「はあっ」
「キー」
「とりや!!」
「キー!」
近くにいたコウモリを全滅させてみる。だが開かない。なぜだ??なぜ開かなのだろうか。まあよくある敵を全滅させて開かれる扉もどのような仕掛けになっているのか不思議ではある。だとすると何だ?どこかに開くスイッチでもあるのか?
「お待ちしておりましたよ」
そんなことを考えているとトカゲの魔物が現れる。こいつは魔王軍の参謀で頭が切れる。そうだ!こいつに聞けばいい!頭が良いのなら知っているはずだ。俺は扉を指さして「お前、あの扉の開け方を知っているのか?」と尋ねる。
「知っていると言ったら?」
「聞き出すまでだ」
「できるとでも?」
「ああ」
俺はこのトカゲと戦った。そんな強くなく、あっさりと勝ててしまった。俺は胸ぐらを掴みながらどうやったら入れるかを問う。だがそのトカゲの魔物は不気味に笑うばかりだ。
「お前アホなのか?」
「何がだ?」
「その扉は...おし...入れ....というのに」
トカゲの魔物はいう途中で力尽きて消えてしまった。結局わからないままじゃないか。クソ!そういえばトカゲの魔物が言っていた言葉は何だったのだろう??「おし...入れ?」押し入れとかではないだろうがどういう意味なのだろう。少し考えるが全くと言っていいほど何も浮かばない。うーむ、どうすれば!!特にこの魔物を倒せば開くわけでもないだろうし...うーむ本当にどうしたら開くのだろう。
再び押してみるが開かない。攻撃を仕掛けてもビクともしないその扉は俺の前にそびえ立っている。
「くそ!どうしたら!!ん?」
よくみると横の方に小さなスイッチのようなものが見える。床と同化していてなかなか見つけるのが困難だ。これなのか?と思いきや押してみるが何も起こらない。よくみると向こうの方にもあり、それを辿っていくと城を囲うように東西南北の方向にスイッチが4個ほど設置されていた。
全て押してみるが最後のスイッチ押すと正門ではない裏にある茶色い扉が開いた。
「なんだ!ここから入ればいいのか!!脅かしやがって!!」
意気揚々と入るとそこはどうやら武器庫だったようだ。これはちょうどいい。武器を調達させてもらおうではないか。しばらく武器庫を漁っているとあることに気づいた。これ以上進む道がない。おかしいぞ?ここから行く道が何かあるはずだ。そこから試行錯誤をすると本棚に触るとその本棚が動き出し隠し扉が現れる。ははーん、こうやって撹乱する気なのか...やるじゃないか
「その先は階段があり左右に松明が設置させていて地下へと続いている。なかなか恐ろしげな感じだが魔王城だしこういう演出はあるだろう。先に進むと牢屋が見えてくる。そこには捕まった人間達と見張りの魔物の姿。俺は魔物をあっさりと倒して「大丈夫ですか!?」と言いながら檻を破壊して人間を逃す。
「おかしいなあ...これ以上道はないじゃないか」
先は行き止まりになっていて、いけそうな場所はない。どうなっているんだ??隠し扉などを探したがそれすら見つからない。
俺は戻って扉を見てみる。やはり開くような素振りすらない。俺は扉の前で
「どうなってんだこれええええ!!」
と大きく叫んだ。
ー
勇者の同行を見ていた魔王は少し困ったような顔をしていた。そして隣のヤギの魔物にこう尋ねる。
「ねえ、あいつ何やってんの?さっきから」
「さあ??」
「何で入ってこないの?もしかして入り方わからない???」
「そんな事は無いと思いますが。あの感じだとその可能性もありますね」
「え?ある?開け方わからないなんて。あいつさっきから引く所をずーーっと押してんだよ??引けば入れるんだよ???」
「人間なんてそのようなものです。所詮は下等でしか無い」
「なんか貫通モード?とかいうのとか無敵モード?とかいうの使ってるセコイやつもいるらしいけどこいつはそういうの使ったりしないのかな?」
「さあ??わかりかねます」
「あいつに教えてあげて」
「はい」
ヤギの魔物がテレポートで移動するのを見て、魔王は頭に手を当てて「はあー」とため息をついた。