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第二十話(最終話) 船出

 新士と薫は、更生丸のデッキでおはぎを食べながら談笑していた。

 「新士さんのお祖母ちゃん、面白い方ですね。」と薫が言った。

 薫は、更生丸に乗る前に喜朗おじさんと三人で祖父母の元を訪れた時の話をしていた。


 祖父母は喜朗おじさんにしがみついて、人目もはばからず大きな声で泣いていた。

 泣いて話して、また泣いて、祖父母とも顔を涙と笑顔でグシャグシャにしていた。

 喜朗おじさんも、「心配かけたけど、全部終わったよ。これからはずっと居るから。」と言って涙を拭った。


 驚いて玄関先を覗きに来たお隣の田井中のおばちゃんに何事かと聞かれると、祖母は「喜朗が外国から帰ってきて、新士ちゃんが遠距離の彼女を連れて来たんだよ。」と即座にウソをついて、薫にペロっと舌を出してニッコリ笑った。

 誰も傷つけない平和なウソだった。


 最後の仕上げがあるからと更生丸に向かう三人に、祖母はおはぎを持たせてくれた。

 甘くて大きなおはぎだった。


 「おおっ、美味そうだな。船長も呼んで一緒に食おう。」と、タオルで頭を拭きながら喜朗おじさんがデッキにやってきた。

 「エイギョウから新しい情報は出た?」と新士が聞くと、「いや、もう放心状態で体に聞いても何も出てこなかった。」と喜朗おじさんは答えた。


 セッケイはホテルの部屋であのまま窒息死し、カンリは喜朗おじさんに頭を打ち抜かれた。

 エイギョウだけは解毒剤を打ち、二人の死体と一緒に乗船させたが、結局何も新しい情報は出ず、今は更生丸の乗組員によって魚の餌になろうとしていた。

 喜朗おじさんの姿を見て、船長はじめ乗組員たち全員が活気に満ちていた。


 「あの・・・、ちゃんとお礼を言ってなかったんですが、何度も助けていただいてたんですよね。ありがとうございました。」と薫は喜朗おじさんに言った。

 「いやー、大した覚悟でいつも感心してたよ。これからもよろしく頼むよ。」と喜朗おじさんは言った。

 「いやいや、これからって、薫さんはもうこの世界から足を洗うでしょ?」と新士は言った。


 「パニッシャー煙が何言ってんだよ!トカゲの顧客の政治家二人と、トカゲが囲ってた小塚みたいな異常者三人は放っとけないだろ?」と喜朗おじさんは言った。

 「それは、おじさんと僕でやればいいでしょ!薫さんは自由だよ。」と新士は薫を見て言った。


 薫は二人の顔を見て、「カゲロウは何を調査すればいいですか?」と、ニッコリと笑って言った。

 新士は呆れたと肩を落とし、喜朗おじさんは新士の肩に腕を載せて「ほらな?」と言って豪快に笑った。



 おわり


 最後までご愛読頂きありがとうございました。

 次回作にもお付き合い頂けると嬉しいです。

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