子どもドラゴンと入道雲ドラゴン。
1
ある日、1羽のドラゴンがお空を飛んでいました。
かわいい小さな子どものドラゴンです。
なんだかとてもさみしそう。
だれかを探してるのかな。
2
「どうしたの?」
「わっ」
急に声をかけられて、子どもドラゴンはびっくりしました。
「だ、だれ?」
そこには、大きな白い雲が浮いていました。
「わたしは入道雲」
「入道雲さんだったの」
「おどろかせてしまってごめんね」
入道雲さんは、子どもドラゴンにあやまりました。
「えっと、お母さんを探しているの」
子どもドラゴンは、迷子になっている事を伝えました。
「あと、できれば、お友だちになってくれるドラゴンを探しているの」
ついでに、お友だちが欲しい事を伝えました。
3
「いっしょに探そうか?」
と、入道雲さんが、提案したのですが、
「うーん、入道雲さんは、ぼくのスピードに追い付けないからムリだよ」
子どもドラゴンは断りました。
すると、入道雲さん。
「ほら。見て」
「あっ、ドラゴン」
なんと、入道雲さんがドラゴンの形になりました。
雲ドラゴンです。
「これでどうかな?」
「うん、これなら大丈夫! 雲ドラゴン、ぼくといっしょに探してくれますか」
「もちろん!」
二人は仲良く探し始めました。
4
二人は長い時間、色んなところを探しながら、いっしょに旅しました。
でも、なかなか見つかりません。
「お母さんとお友だち、見つからないね」
「うん。でも大丈夫」
意外と、子どもドラゴンは平気そうです。
「見つからなくって、大丈夫なの?」
「うん。だって、お友だちはもう見つかったんだ。もちろんキミの事だよ、雲ドラゴン!」
そう言って、子どもドラゴンは雲ドラゴンにふり返りました。
すると、
「ど、どうしたの、雲ドラゴン!?」
いったい何が起こったのでしょう。
雲ドラゴンがとても小さくなっています。
「ごめんね、わたし水蒸気からできた雲だから、少しの間しか生きられないんだ」
雲ドラゴンはそう言いながら、どんどん小さくなっていきます。
「そんな、雲ドラゴン……」
子どもドラゴンの目から涙があふれます。
「ありがとう。キミと遊べて楽しかった……」
その言葉をのこし、雲ドラゴンは小さくなって消えました。
5
雲ドラゴンがいなくなってしばらくの間、子どもドラゴンは泣き続けていました。
でも、「いつまでも泣いてちゃダメだ」と涙を拭きました。
「雲ドラゴンの為にも、きっとお母さんとお友だちを見つけるぞ」
子どもドラゴンは、次の場所に向かって飛んで行きました。
おしまい。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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挿し絵:
みことさま( https://mypage.syosetu.com/1778570/ )
めっちゃ素敵な挿し絵をありがとうございますっ(><*)ノ
題字:
塩谷文庫歌さま( https://mypage.syosetu.com/1158010/ )