狩りをしよう
フレンド登録をした後、ラピスさんとはいったん別れた。何でも、リアルでの友達と噴水広場で待ち合わせをするらしい。俺もそろそろ外に出て行ってみたかったため、ちょうどよかったのかもしれない。
そういえばフレンドで思い出したが俺の友人もNEOを持ってるって話していた気がする。その時は購入のことばかり考えて話を全然聞いてなかったから、明日になってから聞いてみよう。でも、今はとにかく町の外へ行くことだけを考えよう。そして、俺は東の入口の方へ歩いて行った。
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NEOの最初の町の周辺は4つの区画がありベータ版だと、東は初心者向けで、北が鳥系の魔物が多く、南は森が広がっていて、西は防御力が高い魔物が多かったらしい。正式版でも変わってないと嬉しいけどなあ。
そう思いながら東側の入り口についた。列はあったが特に問題がなければスムーズに進むようでそんなに時間がかからずに俺の番になった。
「証明書の提示をお願いします」
俺は冒険者カードを見せる。
「はい、確かに確認しました。日が完全に沈むころには門は閉じられますので注意してください」
「ありがとうございます」
終わるのは本当に一瞬だった。まあこうでもないと列はなかなか消化できないのだろう。何はともあれ、ようやく狩りができる。早速獲物を探しに行こう。〔隠密〕の効果で多少気づかれにくくなっているだろうけどしっかり警戒をしていこう。
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〔隠密Ⅰ〕
周りの生物から気づかれにくくなる。
レベルが上がるごとに効果が高くなる。
任意でスキルのオン・オフが可能
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俺はあまり遠くに行かない程度に獲物を探し始めた。
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〔隠密〕を使いながら探していると早速獲物を見つけた。ウサギのようだが、動物のウサギと比べるとずいぶん凶暴なウサギようでほかのプレイヤーに襲い掛かっている姿があちこちで見られる。魔物のウサギだからこうなのだろう。幸い見つけたウサギはまだ俺の接近に気づいていないのか、目の前の草を食べるのに夢中だ。早速弓で狙ってみよう。弓は使ったことはないが、今は〔弓術〕がある。
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〔弓術Ⅰ〕
弓の扱いに補正がかかる
レベルが上がっていくとアーツを覚える
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補正がかかり、DEXにも振ってあるから命中率も高いはず。さらに俺はダーツとか射的とかは得意だ。だから、落ち着いてゆっくり弓を構えてウサギを狙えた。そのおかげもあって見事ウサギに矢が当たった。
「キュッ!?」
しかし、ウサギはまだまだ元気そうな様子でこちらに向かってきた。
「あれ?思ったよりも減らなかったな・・・、ってあぶねっ!」
火力の低さについて少しの間考えてしまったせいで、ウサギが蹴りかかってきたのに気付くのが遅れてしまい少し体をかすり、VITにはあまり振っていないのもあってほどほどに体力が削れる。俺はすぐに体勢を立て直し、最初から持っていたナイフを構えたところで気づいた。
「そういえば、装備に関してノータッチだった。それが原因か!」
それだったら火力が低いのもうなずける。初心者用の装備は耐久力が無限ということだけが取り柄なのだ。そう考えている間に、ウサギは再びこちらに向かって攻撃をする体制をとる。
「キュウウウッ!」
「そんなことよりも目の前のウサギに集中しなきゃ。さすがに1匹目からやられるのはまずい!」
ウサギは再びとびかかり、顔めがけてキックしてくる。それを避け、すれ違いざまにナイフで切り付けてみるとウサギは少しよろけた。その隙を見逃さずに弓を構え、ウサギの頭を狙い打つ。距離も近く、頭を狙ったその一撃は頭にクリーンヒットし、かなりのダメージが入った。
「よし!これで止めだ!」
俺は勢いよくナイフを突き立てて、ウサギに止めを刺した。
「キュ~」
ウサギは力なく倒れ、ドロップアイテムに変化した。
「ふぅ、思ったよりも苦戦したな。さて、さっさとアイテムを回収するか。ドロップは肉と皮か」
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キックラビットの肉
キックラビットからとれる肉。狩りやすく数も多いため、一般に流通している肉。
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キックラビットの皮
キックラビットからとれる皮。手に入りやすいため、日用品などの材料としてよく使われる。
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ドロップアイテムの確認も終わったので一息つく。しかし、時間が少しかかってしまったな。RPGで武器や防具の装備を促す人ってやっぱり正しいんだと改めて認識させられた気分になった。
「ウサギってどう見ても一番弱い敵だよな。それなのにちょっと時間がかかるし、このまま狩り続けても効率が悪いよな。仕方がない、レベル上げとかは明日にまわそう」
ちなみにNEOは職業レベルを上げることが一般的なレベルの概念である。さらに、職業の合計レベルも存在しており、それがプレイヤーレベルとして換算される。
「この後どうしよう?今すぐ帰るのも早いし・・・」
遅くても狩りを続行するでもいいんだけど、他にもやりたいことはあるからなー。あ、そうだ採取のほうを優先すればいいんだ。
「そうと決まれば早速探すぞ」
そして、俺はしばらくの間、素材採集にいそしむのであった。
一応戦闘描写的なものです。