ギルドに行こう
「これがNEOの世界か。想像以上にきれいだな」
視界は真っ白な空間から町中の噴水広場に切り替わっていた。周りからは「よっしゃー!キター!」「ここから俺の物語が始まる」「早く外で狩りしようぜ」等々、始めたばかりのプレイヤーの声が至る所から聞こえてくる。
「あれ?メッセージが届いている。運営からかな?」
少し隅よりのところに移動してからメニューを確認してみようと思っていると、1件のメッセージが届いていることに気づいたため、確認してみた。
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本日は当ゲームをご購入いただきありがとうございました。感謝の意を込めて初級ポーション5つと1000ゴールド、白紙の本を運営よりプレゼントいたします。それでは、よきゲームライフをお楽しみください。
運営より
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お、これは少し助かるな。でも白紙の本って何だろう?一つずつ確認してみよう。
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初級ポーション
飲むと体力が15%回復する薬。
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白紙の本
好きに内容を書き込むことができる本。複製し、他のプレイヤーに売ることもできる。なくならない。
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なるほど。メモ帳としてだけでなく、情報を売るとかロールプレイとかにも使えそうな感じか。
「よし。確認も終わったし、事前情報にあった冒険者ギルドにでも行ってみるか」
町を出入りするには証明書が必要で、それを得るにはギルドへの登録は必要だってベータテストをした人が言ってたから間違いない。
「どの方角に行けばいいんだろう?東のほうに行ってる人も多いからそっちなのかな?」
違っててもまた探せばいいし、とにかく行ってみよう。
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歩き始めて数分後、いかにもギルドって感じの建物が見えてきて、そこにどんどん人が入っていく光景が目に入ってきた。
「多分これだと思うけど一応聞いてみよう」
そう思って、俺と同じように建物を眺めている青い髪の女の人に話しかけた。
「すいません、冒険者ギルドってここですか?」
「えっと、周りの人についてきただけなので私もわからないです。すみません」
「大丈夫ですよ。俺も同じ状況なので」
「どうした?ギルドならここであってるぞ」
二人で話していると、後ろからいかにも屈強そうな男の人が話しかけてきた。
「ありがとうございます」
「おう、気にすんな!ところで、もしかしてお前らが噂の来訪者か?」
「来訪者?」
「今日からこの町に大量に来訪者が来るって世界神様からの伝言が来たからな。で、お前らは見覚えのない顔だったからそうだと思ったんだが、違うか?」
ふーん、NEO内の住人はプレイヤーのことを来訪者っていうんだな。世界神は運営のことだろう。
「それなら多分あっていると思います」
「あのー、あなたは誰何ですか?ちなみに、私の名前はラピスって言います」
「あっ、俺はキクラゲって言います」
「ラピスにキクラゲか。俺はここのギルドマスターをしているデニスってもんだ。よろしくな!」
えっ、この人ギルドマスターだったのか!?
「あー、別にギルドマスターだからってかしこまらなくてもいいぞ。堅苦しいのは苦手だからな」
そういってデニスさんはガハハと笑う。気のいいひとでよかった。
「ところでお前ら登録しに来たんだろ?特別に俺が面倒見てやるよ」
「えっ!?でも私たちは後から来たから割込みになるんじゃないですか?」
「気にすんな。ここで会ったのも何かの縁だからな」
他の人に申し訳ないがそこまで言うのならここは甘えとくか。
「おっ、坊主は乗り気だな。嬢ちゃんはどうする?」
「それじゃあ、お言葉に甘えて・・・」
ラピスさんは申し訳なさそうになりながらもそう言った。
「そうだ、若いうちはどんどん甘えとけ。ガハハハッ」
こうして、俺たちはデニスさんについていった。
後々キャラが全然違ってそうで少し不安です