第二章 聖女との出会い
呂布は薄い意識の中目を覚ます。そこは森の中であり木漏れ日の太陽が彼を照らす。
「ここは何処だ?俺は一体、、、。」呂布は傷だらけの体を起こし周りを見渡す。足元には彼の武器、方天戟が落ちていた。呂布は脇腹の傷を抑えながら片目をつむり、「あの毘沙門天とやらが言っていた世界とはここなのか?」そう思っているとどこからか悲鳴が聞こえた。悲鳴の方向に目を向けると女が男6人に追われていた。女は男達に追いつかれ悲鳴を上げながら「止めてください!」と抵抗したが男達は女の服を脱がせながら「誰も助けにこねえぜ!あの村は今日から俺たちの物だからよ!俺たちがたっぷお前を可愛がってやるから安心しな!」と女に迫ろうとしていた。女は涙を流しもう絶望していた。男達が女を犯そうとした瞬間、一人の男の首が飛んだ。体からもの凄い勢いで血があふれ出す。動揺を隠せない残りの男達は剣や斧を構えて首を飛ばした者の方向を向く。呂布である。血にまみれた方天戟を振りかざし発する「お前達は雑魚以下の雑魚だ」と横一線に振る。男達は防御しようとするがその時はすでに彼らの体は真っ二つに分かれていた。
呂布は女を見るなり近づく。女は襲われると思い命乞いをした。その時女の方には白い大きな布が掛かっており呂布はその場を去ろうとしていた。女は小走りで呂布を追い
話す。「助けていただきありがとうございます。よろしければお名前を教えていただけませんか?」女はそう聞くと「我が名は呂布。呂布奉先」と言った瞬間、傷と疲れによりその場で倒れ込む。
女は呂布に掛けより体を揺らしながら「呂布さん?しっかりしてください!」と起こそうとするが気を失ったままである。女は呂布の体を見て「ひどい傷。こんなになるまでこの人何と戦っていたのかしら?早く村に運び手当をしないと!」と焦る気持ちを抑えながら女は助けが来るのを待った。しばらくたった後村の男達が駆けつけ呂布を村へ運び直ぐに手当を行った。
気持ちの良い日差しが差し込む中、呂布は再び目を覚ます。体には包帯が巻かれておりベッドの上で寝ていたのだった。「やっと目を覚ましましたね。呂布さん」笑顔で迎えてくれたのはあの女である。呂布は彼女を見るなり「そなた、名をなんと申す?」と問いかける。女は笑いながら「私の名はエマ!近くの森に薬草を採りに出かけてた所をあの大盗賊「ブラッド団」私の村周辺の山々を拠点としていて戦乱続きのこの国は治安も悪化し各地で魔物やブラッド団みたいな暴徒と化した人達が弱い町や村々を襲って支配しているのです。」エマは不安な眼差しを浮かべながら「この前もブラッド団がやってきて村を渡せと迫ってきました。その時は傭兵を雇っていたので何とかその場は収まりましたが、貧しい村なので毎回傭兵を雇えるだけのお金は無くそれをブラッド団に知られ少しずつ動き出しているのです。私は少しでもみんなの力になりたいとこうして手当のお手伝いとかしているんですよ。」
呂布はそんな話の中でエマに問う「その盗賊は強いのか?敵の頭は誰だ?」エマは焦った口調で「はい!ブラッド団はこの地域の盗賊団の中でも1番強く、頭目はブラッドリーと言う男です。体型は獅子のような大男で巨大な鉈を持っています。前に見せしめで副村長がブラッドリーに処刑されました。」涙を浮かべるエマだが「すみません。呂布さんにいきなりこんな話をしてしまい。関係の無いのになんだか巻き込んでしまって。」エマは軽く会釈すると呂布の為にお茶を入れた。呂布はそんな姿を見てふと小声で「㹦蝉、、、。」エマは不思議そうに呂布を見た。呂布は申し訳なさそうに「すまぬ。そなたを見ているとかつて俺が愛した女にどことなく似ている気がして、、。」そう言うとエマは
「㹦蝉って誰ですが?まさか呂布さんの恋人だったりして?」エマは呂布をからかうとふっと鼻で息をしそっぽを向けた。
そんな中、一人の村の男がエマの部屋まで大急ぎで駆けつけた。「大変だエマ!村に真っ赤で巨大な馬がやってきた!」その声に呂布は反応した。「その馬もしや」とエマが何か言い出しそうな感じの前にすぐ部屋を飛び出し馬の所まで走った。「赤兎、お前もこの世界に来たのか」と呂布の愛馬「赤兎馬」をなでるとエマは「その馬、赤兎馬って言うんですね!呂布さんが馬をお持ちとは思いませんでした」とエマも赤兎馬を撫でた。
すると村の門が突然開きボロボロになった村の男達が帰ってきた。人々はその状況に困惑した。そして一人の男が「ブラッド団がやってきた!それもかなりの大軍で迫ってきた。俺たちは先遣隊に突然襲われ命からがらここまで逃げて来たんだ!みんな逃げろ!もうこの村は終わりだ。」と男は息絶えた。泣き出す者、慌てて逃げだす者、祈る者みな間近に迫る死におびえていた。しかし呂布だけは違った。こみ上げてくる胸の高ぶり、また戦いが出来る喜びに心が満たされ始めた。村人が次々に退く中、呂布は方天戟を握りしめ赤兎馬にまたがり目の前に迫る大軍に駆けようとしていた。エマは混乱のなか呂布に「待ってください!そんな体では殺されます。みんなで逃げましょう!もう誰も失いたくないんです!」涙ながらに呂布を止めようとするが呂布はそんな彼女の言葉に耳を貸さず「エマ殿、俺は戦いの中でしか生きられない。そして我の目の前に立ちはだかる者はたとえ神でも許せん!」とブラッド団の大軍めがけて一気に駆け抜けていく。
異世界ワードピアにて呂布の初陣が始まる!
To be continued