第一章 神に愛された男
199年、徐州の砦下邳。曹操と劉備の連合軍に城を包囲された呂布は配下の裏切りもあり敗北。降伏した。
呂布は曹操に仕官を申し出たが劉備にこれまでの数々の裏切りや行動などを諭され受け入れられず絞首刑が言い渡される。
ひたすらに武を極め、強者に挑み続け、飛将と呼ばれた男の最期が刻一刻と迫っていた。
呂布は体中を鎖で縛られ処刑台まで運ばれる。生への執着心が強い呂布は猛獣の如く暴れていたがついには諦め、自分の死を悟った。
絞首台に立ち落下装置が作動する直前、呂布は大地を響かせる様な大声で「我は飛将、呂布なり!」と叫んだ。そして足場が外され落下する瞬間、時が止まった。
その場にいる全員は誰も動かない。天も大地も物も何一つ動かない。しかし呂布だけは意識はあった。体は動かせないが確かに今全ての物が止まっていると認識したのだ。
そして呂布の前に光が差し込みそこから1人の男がやってくる。「呂布奉先、僕は君の事をずっと見てきた。君が生まれてから今日死ぬ直前までを。」その男は軽い口調で話しかけた。呂布はそれに不信感を持つような目をしながらその男を睨んだ。
男は軽い感じで「そんなに睨まないでよ。僕は怪しい者じゃないよ。僕の名は毘沙門天。戦いの神だよ」男の名は毘沙門天。容姿はヒラヒラしたシャツに全身赤い鎧を身に纏い、手指には複数の指輪をしており髪は金髪のショートヘア。年齢は20ぐらいの青年だろうか、どこか軽い感じの様子である。
呂布は戦いの神という言葉を聞いた瞬間、睨んだ顔がまるで自分が求めていた最強の強者にあったようなうれしさの笑みを浮かべる。
「お前はなぜ我の所に来た?なぜ我を追ってきたのだ?」と問いただす。毘沙門天は笑顔で「それは君が最強だからだよ。ひたすら強くなることだけを求め国や君主、愛する者の為ではなく己の為に武を極め続けるその行き方に興味を持ったのさ。」毘沙門天は続けざまに「呂布よ君はまだ戦いたいかい?今まで戦った者達よりもっともっと強い者達と戦いたいかい?」まるで呂布を誘っているかのような口調で質問する。呂布は抑えきれない感情をついに爆発「俺はもっともっと戦いたい!もっと強い奴と戦いたい!そして最強の武が欲しい!」と毘沙門天に訴える。毘沙門天は全て分かっていたかの様な感じで「君がそう言うと思っていたよ。君は戦いの中でしか生きられない様な男、まさに武の化身だね。」呂布を見透かしたような口ぶりだがその後真顔になった毘沙門天は「君をもっと強い者達がいる世界に連れて行ってあげる。そこで君が望むものが手にはいるといいね。」そう言うと毘沙門天はまた光の中に消えようとしていた。呂布はそれを止めようと「連れて行くってどこに行かせる気だ?答えろ!」と叫ぶ。毘沙門天は光に消える瞬間にやりと笑い「でも一度死んでもらうけどね」と言い残し光の彼方に消えていった。
そして時は再び動き出し、呂布はそのまま落下。彼の意識はその瞬間闇の中に消えていった。
To be continued