第99話
夏樹視点です。
下水道を通り俺達は城に潜入する。隠し扉から様子を伺っていると激しい雷の音が聞こえると、ガシャガシャと鎧を着た兵士達が持ち場を離れていく。兄貴ナイス!
離れていく兵士を鑑定するとどれも敵モンスターのスカルナイトだった。
「ナツキ、外の様子はどうだ?」
「敵は兄貴のおかげで居なくなった」
「この轟音、ウィルが?」
俺は頷いた。
「今のうちに玉座の間へ行こう」
俺達は隠し扉から廊下に出る。外では激しい音が鳴り響くなか廊下は恐ろしいほどに静かだ。
今回のメンバーは俺とヴェスナー達。それにラティノアだ。他の騎士達は城の周囲に誰一人近づかせないために封鎖しに行ってもらってる。
「俺っちが先行するっす」
「私も」
「分かった」
罠探知が得意なセゾンとクシュが提案する。なにかあっても二人には回避スキルもあるから安全だろうとヴェスナーは頷く。
道なりに赤い絨毯が敷かれた道を進んでいくと曲がり角の手前――地図上だと玉座の間の手前――セゾンが止まる。
「大盾持ったスカルナイトディフェンダーが一体、スカルマジシャンが一体、スカルプリーストが一体」
スカルマジシャンは攻撃魔法を使う敵モンスターでスカルプリーストは回復魔法が出来る敵モンスターだ。回復役がいるのか……まずはそいつを倒さないとだけど大盾のスカルナイトディフェンダーをどうにかしないとだな。
「っ! 危ないっ!」
セゾンが振り返ると凄い速さで後ろにいたラティノアの近くに移動して短剣を交差する。すると鉄と鉄がぶつかる音が鳴り響く。
「ざ、残念だったすね……! 同じスキルを持っているとそのスキルは意味ないっすよ!」
セゾンが目に見えない奴を蹴り飛ばすと姿を見せる。鑑定するとスカルアサシンと名前が表記されていた。セゾンも暗殺者のジョブ、そのおかげでスカルアサシンが透明でも見つけることが出来たのか。
スカルアサシンはまた姿を晦ます。
「あいつは俺がやるっす!」
セゾンも姿が消えると今度は火球が飛んでくるがヴェスナーが盾で弾く。
「スカルプリーストを優先して倒す! ヘストとクシュとラティノアはディフェンダーを引付けつつマジシャンを対処。俺とナツキでプリーストをやる!」
ヴェスナーの指示で直ぐに動き出す。
ディフェンダーはプリーストを守りに動くがクシュが矢を素早い連射で動けなくする。マジシャンが魔法を放つタイミングで矢をマジシャンに向けて更に動きを制限させ、交代でヘストが火球を連発してディフェンダーを足止め。止めきれない魔法はラティノアが対処している。そのおかげでプリーストは無防備になっている。俺達はプリーストに駆け出す。
だが、プリーストは何もしないわけではなく黒い十字架を数本落として反撃する。
「そんなもん聞くかよっ! 【パーフェクトシールド】」
ヴェスナーは盾を構えると巨大な光る盾が現れプリーストの攻撃を全て防ぐ。
「今だナツキ!」
「了解、【一閃・火】」
刀身に火を纏わせ俺は一瞬でプリーストに近づき首を刎ね、そこからプリーストは燃えていきHPが無くなった。
「よし、あとはディフェンダーとマジシャンだ! 終わり次第セゾンの援護に行くぞ」
俺達の連携でディフェンダーとマジシャンは難なく倒す。
セゾンの援護に行きたいが姿が見えず金属音しか聞こえない状況。
しばらくするとスカルアサシンが姿を見せると倒れドロップアイテムを残し消える。
「や、やっと倒せたっす……」
傷だらけでボロボロのセゾンも姿を現す。倒れ込みそうになるセゾンをヴェスナーが支え地面寝かせる。
「お前、毒受けてるのか。えっと……ほれ、解毒薬だ」
「サンキューっす。……ぷはっ! 生き返るっす」
「セゾン殿先ほどは助かった。感謝する」
ラティノアが頭を下げる。
「無事でよかったっす」
「セゾンは体力回復次第後からこいよな。その間ラティノア付き添いを頼めるか?」
「……承知した。私も後から向かう。お嬢様を頼むぞ?」
「分かってるって」
俺とクシュとヘストは頷いて玉座の間に向かう。
直ぐに着いた俺達は開いている扉に近づくと見えない壁に遮られ中に進めない。
目を凝らして中の様子を見ると何人か鎖に繋がれている。その中に服がボロボロの王女を見つける。
「シャル! シャル無事か!」
ヴェスナーは見えない壁を何度も叩きながら必死にシャルの名前を叫ぶ。すると、王女はゆっくり瞼を開け口を動かすと見えない壁がパリンっと壊れた。
「やっと結界が解けたか。まさか光の結界を使えるものがいたとは予想外だったが計画に支障はない。お前達を消せばな?」
一気に禍々しいオーラを解き放ち赤い瞳を向けてくる。
「やれるもんならやってみろ!」
「シャルいじめた奴、許さない!」
「ここまで怒りがこみ上げるのは初めてだ……絶対シャルを助ける!」
「やる気満々なのは良いけど、ちゃんと周りを見ろよなー」
俺達は武器を構え玉座に座る黒幕に睨み返した。




