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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第97話

 ログインするとベットの上で横たわっている僕の上にルキが居て目が合う。


「お、おはよう」


「ウィル!」


 ルキは僕の首に腕を回して抱き着いてくる。

 そんなルキの頭を撫で体を起こす。


「今日どこか行く?」


「行くけど……危ないからルキには屋敷で留守番してて欲しいんだ」


「いっや! ルキも行く!」


 やはりルキは行きたいと駄々をこねる。困ったな。


「しずかにするからいきたい……」


 今にも泣き出しそうになるルキに目線を合わせ僕は微笑みかける。


「分かったよ。静かにすること、僕から離れないこと、言うことは聞くこと」


 ルキは僕の言葉に頷く。


「約束、守れるか?」


「うん!」


 ルキは元気よく返事をする。僕はルキの頭に手を置く。


「よし、じゃ行こうか」


「うん!」


 ルキと手を繋いで部屋を出ると夏樹が壁に背をくっつけて座っていた。


「終わったの?」


「いたなら、声かけろよな……ほらクロウカシスに行くよ」


「おう!」


 転移結晶のアイテムを使いクロウカシスに転移する。

 視界が暗転して雪降る街クロウカシスの外壁近くに転移した。

 寒さを感じた僕は急いでルキの分と一緒にジャケットをインベントリから取り出し急いで着る。


「兄貴とルキお揃い……いいなぁー」


 夏樹がボソッと呟く。


「アテムアさんに作ってもらったから――」


「マジで! よし、さっさとこれを終わらせて作ってもらうっと!」


 何故か別ベクトルでやる気に満ちている夏樹。これからイベントクエストやるって言うのに緊張感が無いな。まぁそのおかげで僕もそこまで緊張しなくてすんでいるのは助かってる。


「てか、そんな姿で寒くないの?」


 夏樹はいつのもの甲冑の姿だ。気になり尋ねてみた。


「全然! この甲冑にも俺の属性付与の影響が出るから寒くないんだぜ!」


「そうなんだ」


 そんな会話しているとこちらに向かって足音が聞こえてくる。


「ナツキー! ウィリアムさん! お待たせしました!」


 ヘストが手を振って走ってくる。その後ろからヴェスナー、クシュ、セゾンの三人が続く。


「よし、全員揃ったからイベントクエスト始めるぞ」


 ヴェスナーがクエストを開始すると手紙は光の粒になり風に流されていく。すると、地面に光る足跡が現れた。


「足跡を辿るぞ」


 ヴェスナーの言葉に全員が頷き足跡を辿っていく。裏路地を道なりに進むと足跡が家の扉の前で止まる。僕達はお互い顔を見合わせ武器を構え、セゾンが扉をノックする。


「誰だ……!」


 聞き覚えある女性の声が返ってくる。


「ラティノア?」


「その声は! ヴェスナー殿!」


 勢いよく扉が開くと鎧を身に纏っているラティノアが出てくる。


「それに皆様……! ここに来て頂けたということは手紙が届いたのですね。よかった……これでお嬢様を助け出せる」


「あのさ、シャルが囚われているしか情報無いから詳しい話を聞かせて欲しい」


「わかりました。中でお話を致します」


 家の中に入ると女騎士のラティノアと鎧を身に纏っている者達がちらほらと居る。


「副団長、そちらの方々は一体……」


「彼らはお嬢様の友人で救出作戦を手伝ってくれる」


「おお、それは心強い!」


 ラティノアは僕達を空いている席に座らせてから説明してくれた。

 あの日、お城に戻った王女様とラティノアは玉座の間に入ると血を流している王様と鎖に縛られている第一王女と第二王女。そして、床でボロボロで気を失っているダンテが転がっていた。

 玉座には禍々しオーラを放つローブを着た何者かが座っていた。王女様は咄嗟に光の結界を作りラティノアを弾き出しヴェスナー達に知らせるようにと叫び、ラティノアは王女様を信じてお城を出た。

 その後、ヴェスナー達宛に手紙を出したそうだ。


「私はお嬢様を守ると剣に誓ったはずなのに……!」


 ラティノアは自分の不甲斐なさに憤りを感じテーブルを叩く。


「シャルは必ず助ける、任せて。その為に来たんだから。」


「クシュ殿……皆様……ありがとうございます……」


 ラティノアは立ち上がり頭を下げる。


「それで、状況を説明してくれ」


 ヴェスナーがラティノアに尋ねる。


「はい。こちらをご覧ください」


 テーブルにお城も見取図を広げる。


「今、王城は完全封鎖しております。中にいる兵士にも連絡が届かない状況です。なので、隠し通路から王城に入ります」


「シャルたちの場所、分かる?」


 クシュが尋ねるとラティノアは頷く。


「お嬢様が使った光の結界は一度発動すると、お嬢様の意思でしか解除が出来ない結界です。なので、お嬢様たちが居るのは玉座の間です」 


 ラティノアは玉座の間までの最短ルートを教えてくれた。


「後は敵の数なのだが」


「ヴェスナー殿、申し訳ない……偵察で言った騎士が戻ってこないのではっきりとした数は分かりません」


「なるほど……戻って来てないということは敵はそいつ以外にもいるってことだな。……念の為に聞くけど、城の中で暴れても問題ない?」


「もちろん! 今はお嬢様達の命が最優先です!」


 お城の中は高価なものが溢れている。万が一のためにヴェスナーは尋ねたがラティノアは問題ないという。なら、時間もないし全力でやっていいのかな?

 そう思い僕は手を上げる。


「ヴェスナー、良い案があるんだけど……」


 皆の視線が集まり僕は考えを伝える。話終えると何故か呆れた表情をされた。


「ラティノア、今の案で行く?」


「ふむ……ウィリアム殿の負担が大きいと思うが、問題ないのならそれで行こうと思う」


「了解。よし、シャル救出作戦開始だ!」


「「「おう!」」」



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