表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
9/165

第9話

 連休四日目。今日も運営から連絡は来なかった。

 不思議に思い調べてみたら連休中は受付しか対応していなく、連休明けに順次返答するそうだ。

 今日までプレイ自体には特に問題ないからいいけど。


 今日は弟の夏樹が帰ってくる日。帰ってくる前に炊事洗濯を終わらせておこう。

 雲一つない青空。洗濯日和だ。


「あ、アニキー!」


 二階のバルコニーで洗濯物を干していると歩道から夏樹の声が聞こえる。視線を向けると夏樹は手を振り駆け足で家に入っていく。

 ドタドタと階段を上ってくる足音が聞こえてくる。


「兄貴! ただいま! なんかご飯ある?」


「おかえり~。カレーならあるよ」


「やった!」


 夏樹は駆け足で一階に降りていく。

 この洗濯物干したら昼飯にしよう。


「はい、兄貴の分」


「ありがとう」


 洗濯物を干し終え台所に行くと夏樹が僕の分も用意してくれた。

 ダイニングテーブルに移動し二人で食事を始める。

 食べながら僕は夏樹に尋ねる。


「お泊りどうだった?」


「楽しかった。キャラは作れないゲストだったけどVRMMOのゲーム初めてやった!」


「へぇー。なんて言うゲーム?」


「リベラシオンオンラインってゲームなんだけど知ってる?」


 僕は頷き答える。


「連休が始まってからやってる」


「え!? マジで!? 俺も始めるから今買ってくる!」


 夏樹は急いで昼飯を食べ終え部屋に。そして、鞄を持って玄関に向かった。

 靴紐を結んでいる夏樹に僕は言う。


「夏樹、ヘッドギア込みで二十万ぐらいだけどお金あるの?」


 弟はまだ学生だ。学生にとっては二十万は大金に近い。

 持っているか確認すると靴紐を結んでいる手が止まった。鞄から財布を取り出し中を確認した夏樹は立ち上がり言う。

 

「兄貴悪い! バイトして返すからお金貸して!」


 やはり足りなかったようだ。必死に頼み込む夏樹に僕は言う。


「別に貸してもいいけど、短期バイトして溜めてからじゃダメなのか?」


 夏樹は首を横に振り言う。


「兄貴、連休ずっとやる予定だろう?」


「うーん、そうかな」


「遅く始めたら兄貴ともレベル差ひらいちゃうし、何より兄貴と一緒に遊びたいんだ。だからお金貸して兄貴!」


 一緒に遊びたい、ねぇ……。

 夏樹が中学生まではよく一緒に遊んでたけど、僕が就職して夏樹が高校生になってから一緒にいることが自体がほとんどなくなった。

 僕は頭を下げている夏樹に言う。


「わかった。足りない分貸すよ」


「ありがとう兄貴!」


 満面の笑顔で夏樹が礼を言われた。

 足りない分を渡し夏樹は自転車に乗り買いに行った。


 数分後、肩で息をしながら額から汗を流す夏樹が帰ってきた。

 あまりにも早く帰ってきた夏樹に僕は苦笑した。


「じゃあ兄貴、あっちの世界で!」


「おう」


 インストールも終わり、僕は部屋に戻りヘッドギアを装着してログインする。

 待ち合わせ場所の噴水広場で待つことにしたのだが、僕の容姿も伝え忘れたし名前も伝えてなかった。

 会えるか不安になっていると一七〇センチぐらいの身長にツンツンした黒髪。どことなく夏樹の面影がある。

 誰かを探している様で辺りを見渡している。声を掛けてみるか。


「夏樹?」


 僕が声を掛けると凄い勢いで振り返られ目を丸くしている。

 あれ?違ったか?


「すみません、人違いでした」


 頭を下げ離れようとしたとき急に手を掴まれた。


「えっと……」


「兄貴なの?」


 僕の事を兄貴呼びしているのは夏樹ぐらいだ。夏樹で間違えないな。

 そう思った矢先、夏樹に抱え上げられ回り出した。


「あの時助けてくれたの兄貴だったのか! うわああ! マジか!」


「ちょっ! 夏樹! やめっ」


 落ち着いたのかようやく解放された。おかげで僕は目を回しぐったり。

 横になって休んでいると夏樹が話してくれた。


 以前助けた片手剣のプレイヤーはなんと夏樹だった。

 会えた嬉しさと助けたのが僕だったことに嬉しさのあまりやってしまったそうだ。

 

「ごめん兄貴……」


 しょんぼりしている夏樹の頭に僕は手をのせて言う。


「次やったら怒るからな」


「う、うん。気を付ける」


「よし、この件は終わり。夏樹の武器を決めにギルド行くか」


「おー!」


 体調も回復した僕は立ち上がり夏樹と一緒にギルドに向かうのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ