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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第89話

「お嬢様! 変なことを仰らないでください!」


「ラティノア、私は変な事は言っておりません。ちゃんと考えての発言です」


「私を納得させることが出来る程の理由があるのですね?」


 女騎士は王女様に鋭い眼差しを向ける。


「ごほん。理由は簡単です。ヴェスナー様率いる《銀狼の彼方》のメンバーの方々がお強いのと!」


 王女様は僕を指さす。少しビクッとなってしまった。


「ウィル様の召喚獣。伝説に聞く西方を守護する神獣――ビャッコで間違いはないはず」


 王女様は確信している目をしていた。正直答えていいのか迷う。


「シャルル様、誰にも言わないと約束していただければお話しします」


「わかりました。神に誓ってお約束します」


「……シャルル様のお考えの通りです」


 僕の答えを聞いて満足気な表情になる。


「ビャッコは守りに優れていると聞きます。安全性は問題ないかと思われます!」


 確かに守りには優れているけど、ビャッコはどっちかというと好戦的なんだけどな。

 ちらっとビャッコを見ると視線が交わる。頭を撫でやると目を細めて嬉しいそうだ。


「ルキも!」


「はいはい」


 ルキの頭も撫でる。嬉しいそうだ。 


「お嬢様、それだと皆様の負担が大きいと思われますが……」


「守られているだけの存在ではありません。 少しお待ちください」


 王女様は部屋を出て行く。しばらくすると扉が開き純白の装備を纏った王女様が戻ってきた。


「お嬢様、その姿は……?」


 王女様はその場でくるっと回る。


「こんなこともあろうかと思って作っておいたんです」


 王女様は用意周到だな。


「ヴェスナー様、似合って……ますか?」


 きょとんとしているヴェスナーに王女様は尋ねる。


「えっ、えっと……似合って、ます……」


 恥ずかしいそうにヴェスナーは言う。耐えきれずに視線を王女様から外した。

 その光景にこっちも恥ずかしくなってしまった。青春だな。


「足手纏いにならないので私をダンジョンに連れていってください」 


 王女様は頭を下げる。


「シャル、本音は?」


「あの方が居る城には今はいたくない! ヴェスナー様と一緒にいたい!」


 クシュが聞くと王女様は大声で叫んだ。


「シャル、一緒に行こう?」


「ありがとう、クシュ!」


 クシュと王女様は手を取り合い喜んでいる。すると、クシュは凄い形相で周りを見回した。

 ……賛成しないと怒られそうだな。


「お、俺っちは別に良いすよ?」


「お、俺も!」


 セゾンとヘストは賛成のようだ。クシュは今度は僕を見る。


「僕はどっちでもいいけど、ヴェスナーに任せるよ」


「あ! それはずりぃだろう、ウィル!」


 僕の言葉で皆の視線がヴェスナーに向く。


「ダメ……ですか?」


「うっ……わかった! わかりました! 連れて行きます!」


「ヴェスナー様ありがとうございます……!」


 余程嬉しかったのか王女様はヴェスナーに抱きついた。

 すると、大きな溜息が聞こえた。


「私も同行します。お嬢様共々よろしくお願いいたします」


 話が纏まり王女様とお付きの女騎士と一緒にダンジョンに行くことになった。

 先に城の外に出るように王女様に言われ僕達は外で待つことにした。

 しばらくすると一人の兵士が訪れ街の外に来るよう伝えたあと兵士は戻っていく。

 僕達は急いで街の外に向かうと深めのローブを着た人物が二人並んで立っていた。


「あれか?」


 その二人に近づくと一人が僕達を見つけると大きく手を振った。二人で間違いないようだ。ようやく二人と合流する。


「これからどちらのダンジョンに行かれるのですか?」


 キラキラした目で王女様は尋ねる。


「ウィリアムさんの時間もあるし、二人のレベルは50。なら《氷結の森》とかいいんじゃない?」


「あー、そこならいいかもな」 


「問題ないっす!」


「決まり」


 ヘスト達の話に耳を傾けているとこれから向かうダンジョンが決まった。氷結の森……名前の通りなら木々が凍っている森なのかな?

 ちなみに、二人のレベルはパーティーを組んだ時に判明した。

 それと王女様のスキルは回復魔法に特化していて、女騎士のラティノアは前衛に特化している構成だった。


「かなり遠い所だから転移で一気に移動する。配置とかは向こうに着いたら決めるぞ」


 ヴェスナーはインベントリから転移結晶のアイテムを取り出し僕達はダンジョン近くにある村に転移した。



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