第88話
更新が遅くなりました! すいませんでした!
街中を道なりに進んでいくと城門が見えてくる。門の両端には全身を覆うプレートアーマーの門番が立っていた。
ヴェスナーは門番の一人に駆け寄りインベントリから一枚の紙を見せると門がゆっくりと開き始める。
「おーい。中入るぞー」
ヴェスナーに呼べれ僕達は門をくぐる。ビャッコとルキも問題なく通れた。門番に軽く会釈するも反応は返ってこなかった。
整備され綺麗な庭を進み城の中に入ると絢爛豪華な城内が出迎えてくる。
「中、凄いだろう?」
「うん、凄いけど……」
中世ヨーロッパに出てくる城のような内装は確かに凄い。でも、個人的には妖精の女王の城の方が凄いと思う。
「けど? なんだよ?」
「……女王の城の方が良いと思って……」
「女王? 女王ってまさか……妖精の女王ティターニア?」
「うん」
僕が頷くとクシュ、セゾン、ヘストが凄いキラキラした目を向けてくる。
「ウィリアムさん、妖精の女王入ったんですか?!」
「四人と初めて会った時にね」
「マジっすか! 凄いっすよ!」
「私も行きたい……! 連れてって……!!」
「あはは……写真ならあるんだけど見る?」
そう尋ねると三人は頷いた。
ポチポチと操作して、城内の写真を見せる。いつの間にヴェスナーも覗いてる。
「凄いっすね……」
「綺麗……」
クシュとセゾンのそれぞれの感想を溢す。
「あーくそ……これは、俺もこっちが凄いと思うわ。次は勝つからな!」
「なんの勝負だよ?」
ヘストのツッコミが入ると足音が聞こえてくる。
視線を向けるとそこには、綺麗な桃色のふわふわヘアーしたドレスを着た女性と白銀の鎧を纏う女騎士の二人だ。
名前の表記は白ってことはNPCか。
「ヴェスナー様ーー!」
女性はヴェスナーの事を見つけるなり駆け寄ってくる。
「「あ」」
女性はドレスの裾を踏んでしまったか転びそうになるが、ヴェスナーとお付きの女騎士が走り出し、辛うじてヴェスナーが間に合い受け止める。
「お怪我はありませんか? シャルル様」
「ありがとうございます……」
「お嬢様、お怪我は?!」
「えぇ、大丈夫ですわラティノア」
女騎士のラティノアは息を吐き安堵する。
「感謝するヴェスナー殿」
「いえいえ」
そんな光景をみているとクシュに脇腹を突っつかれる。
「彼女はシャルル、この城の第三王女様。ヴェスナーの戦っている姿をみて一目惚れしたんだって」
「あーああ、なるほど」
「クシュ、聞こえているぞ」
小声で話していたクシュの言葉を聞き取るとは意外と地獄耳だな。
そんなことを思っていると王女様と目が合った。
「ヴェスナー様、こちらの方は?」
「こいつはウィル。ジョブは召喚士」
「ウィリアムです。こっちの白い虎はビャッコで、背中に乗っているのがルキです」
「ルキ!」
「ガオ!」
「お可愛いお仲間さんですね。私はシャルル・フォン・クロウカシスと申します。王女と言いましても私には継承権がないので気軽に接して頂けれると嬉しいです。気軽にシャルとお呼びください」
ドレスの裾を摘み綺麗なお辞儀をする王女様。
「あ、そうだ。シャルル様。今日はこいつに城の案内しようと来たんですが一緒に回りませんか?」
「よろしいんですか? 私に任せてください!」
王女様はやる気満々だ。
そして、僕達は王女様の案内の下城を巡った。
「最後のここが玉座の間になるんですけど……今は先客が居るのでまた今度――」
玉座の扉が開きチャラチャラした男性が出てくる。
「おや~シャルルちゃんじゃないか? それと……俺様に負けた奴」
ヴェスナーはそいつを睨んでいた。
「そんな負け犬なんか構ってないで俺様と来いよシャルルちゃん!」
「行きましょう皆様。失礼しますダンテ様」
王女様は踵を返す。
「つれないね~~くっくっく」
僕達は高笑いしている男性を放置して後を追いかける。
「すみませんヴェスナー様。私の配慮が至らなかったばかりに……」
空いてる部屋に入るなり王女様はヴェスナーに頭を下げる。
「シャルル様、頭を上げてください。負けたの事実ですから。次は負けないんで大丈夫です」
「ヴェスナー様……」
王女様の両肩に手を置きヴェスナーは宣言する。めっちゃいい雰囲気だな。
「ごほん。いい雰囲気所悪いんだけど」
「「あ」」
ヴェスナーと女王様は急いで離れた。
「城も見終わったけど、ウィリアムさん時間まだありますか?」
ヘストに言われ僕は時計を見る。
時刻はまだ昼の四時。まだ時間はあるな。
「あるよ」
「じゃあダンジョン行きましょう! 皆もいい? 特にヴェスナー」
「なんでだよ!」
「了解っす!」
「うん!」
ヘストがまとめダンジョンに行くかことになった。
「あの、私も同行してもいいですか?」
「「「「えっ?」」」」
王女様が突然変なことを言い出し見事にその場にいる人達の声が重なった。




