第84話
「ウィル?」
僕を呼ぶ声が聞こえ顔を向けるとルキが不思議そうにこっちを見ている。手招きすると駆け寄ってくた。
「みんな、小さいね。魔法?」
「ううん。なんか新しいスキルの効果みたい」
召喚獣達のステータスを確認しているとそれぞれに【縮小】というスキルが追加されていたのだ。
効果は小さくなるだけ。ステータスは変わっていないから見た目だけのようだ。どうやって追加されたのかさっぱりだ。
召喚獣達は僕から離れルキと遊び始める。
再度変わったところが無いか確かめていると、廊下からドタバタと足音が聞こえる。そして勢いよく扉が開いた。
「兄貴!」
やっぱり騒音の正体は夏樹だった。扉が開いた瞬間ルキと召喚獣達動きが止まり目を見開いてる。
「兄貴聞いてくれよ! さっき売った――痛っ!! 何すんだよ!」
近づいてきた夏樹の額にデコピンをする。
「ルキ達がびっくりしてんの! 静かに部屋に入れよ!」
「え? ……ああああああごめん! 皆ごめん!」
ルキ達を指さすと夏樹が皆のもとに行って頭を下げる。
それから夏樹はなんかの果物も上げて機嫌を取っている。あれ、蜜柑だよな? そう言えば在庫切らしてたんだっけ。今度買いに行こうっと。
「それで。なんかあったのか?」
「あ! そうだった! 兄貴聞いてくれよ! さっき売った悪魔の招待状速攻で売れたんだよ!」
「そうなんだ。いくらで売れたの?」
「なんか反応薄くない? まぁ金額聞いたらびっくりよ兄貴!」
人差し指をピンとする。一? 億単位って言ってたし。
「一億?」
夏樹は首を横に振る。
「え、違うの? んじゃ……百億とか?」
流石にそこまではないと思い冗談半分で言った。
「千億」
「………………は? いやいやいや。冗談はいいから」
「冗談じゃないってこれ見てくれよ!」
夏樹は所持金を見せてくれた。そこにはゼロの桁がいくつもあって目を疑った。
「マジか……」
「いや~~まさか、この金額で販売したら即売れでビビったよ! おかげでまた金持ちになったね兄貴! あ、そうだ!」
見たことない金額に呆然としていると夏樹は立ち上がり部屋の角に木製のチェストを設置する。
ルキ達は興味津々にそれに近づく。
「それは?」
「クランチェスト。簡単に説明するならクラン共有のインベントリかな。まだクラン作ってないから俺しか使えないけど。ここに入れとくよ」
「わかった」
「ナツ、これなーに?」
チェストの前で操作している夏樹にルキが尋ねる。
「うーん。お宝がいっぱい詰まっている宝箱かな? まだ入ってないけどね」
「宝箱! 私も入れたい!」
ルキは白いワンピースのポケットから赤く輝く石を取り出す。
「それは?」
「ひろった!」
「ふーん。わかった入れとくよ。欲しい時は俺に言ってな?」
赤く輝く石を眺めた後、夏樹はチェストに入れる。
その後することもなくなり召喚獣達を戻しルキを寝かしつけログアウトした。
翌日、僕は朝食を食べ終え早速ログインした。
夏樹は朝からバイトの為夕方前にログインするそうだ。
久しぶりに一人だな。何しようかな~。
「今日お出かけするの?」
「何処か行きたいところある……って聞いても分かんないか」
「ウィルが行くところならどこでもいいよ!」
「あはは……困ったな」
頭をボリボリと掻いていると通知が届く。誰だろう?
確認するとヘストからだった。
『ヘスト、おはよう』
『あ、おはようございますウィリアムさん!』
朝から元気だな。流石高校生。
『今日予定とかありますか?』
『特にはないけど』
『良かったらなんですが、クロウカシスに来ませんか?』
クロウカシスって雪に覆われた拠点の街の一つだっけ?
いい機会だしそれもありかな。
『分かった。案内頼んでもいい?』
『はい! 任せてください! あ、すいません。昼に全員集まるので昼からでもいいですか?』
『分かった。それで待ち合わせは――』
『俺が迎えに行きますから屋敷で待っててください』
『了解』
ヘストと待ち合わせの時間を決めて通話を終わらせた。
雪降ってるんだよな。てことは寒いはず。冬着あった方がいいよね。
「ルキ、寒い所行くから買い物行こうっか」
「うん!」
ルキと手を繋いで屋敷を出てマーケット用の掲示板に向かった。




