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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第79話

 窓から差し込む朝日に眩しさを感じゆっくり瞼を上げしばらくぼんやりする。

 スマホを見ると昼手前。ずいぶんと寝たようだな。

 大きな欠伸をして空腹を感じた僕は居間に行くと誰もいなかった。冷蔵庫を開けると食事が用意されていて、温め直してから食事を始めた。


「ただいま」


 ゆっくり食べていると玄関が開き夏樹が帰ってきたようだ。


「おかえり」


「兄貴おかえり! 今帰ったところ?」


 居間に来た夏樹は鞄を床に置いてから冷蔵庫にある夏樹の分を温め直している間に聞いてくる。


「帰ったのは昨日で、今さっき起きたところ」


「ふーん」


 温め終わったのを僕の前の席に運び夏樹も食べ始める。


「兄貴、掲示板みてるっけ?」


「掲示板? マーケットの?」


「それじゃないよ。俺が言ってるのはネット上でプレイヤー同士が情報を交換する場所のところ」


「そんなのがあるんだ。それで、なんかあったの?」


 夏樹が説明してくれた。

 僕が出張でいないタイミングで浮遊城の攻略が進み六十四階層と五十階層のダンジョンボスが倒されたそうだ。

 六十四階層はフラウロスという炎を纏った豹人間で、レオルさんのクランとグラさんのクランで攻略。もう一つの五十階層の方はフルカスという白髪と長い顎鬚を蓄えた残忍な老人の見た目で、こちらは僕が知らないクラン三つ合同で攻略したそうだ。現在他にも三つの階層も攻略が進んでいるようだ。


「そこまで興味なかったから知らなかったけど、意外と進んでないんだね」


「一つ一つの階層が広くてボス部屋が遠いし、敵モンスターも強いから時間が掛かっているらしいよ」


 食べ終わった僕は食器を洗う。夏樹も食べ終わったのか食器をそっと置いて行く。仕方ないから一緒に洗ってあげた。


「兄貴、今日ログインするんだよね?」


「その予定だけど……ルキ、怒ってないかな?」


 あの日ルキに明日も来ると言っときながら結局今日までログイン出来なかった。

 怒って口も聞いてくれないと思うとへこんでしまう。


「あーそれなら大丈夫だよ。兄貴がログインしない間は時間が止まっているから別れた時のままだよ」


「そう、なんだ……」


 それを聞いて安堵したが約束を破ってしまったは事は謝ろう。


「じゃあ先行くよ」


 夏樹はそう言い部屋に向かった。洗い終わり部屋に戻るとヘッドギアを付けログインした・


「ウィル!」


「うっ……お、おはよう、ルキ……」


 ログインするなりルキにお腹に乗られた

 体を起こし久しぶりに見た愛らしい笑顔に癒される。


「ルキ、ごめんな」


「なんでウィルがあやまってるの? へんなの!」


 無邪気な笑顔で抱き着いてくるルキの頭を僕は撫でる。


「兄貴、入るよ」


「おう」  


 ドアを開け夏樹が入ってくる。


「ウィル、久しぶり!」


「ウィリアムさんお久しぶりです」


 夏樹に続いてアルナさんとアイリスさんが部屋に入ってくる。

 二人を見た瞬間ルキは僕の後ろに隠れた。やっぱり人見知りのようだな。


「アルナさんとアイリスさんいらっしゃい。あ、そうだ。アルナさん、アイリスさん。大会の日探しに来てくれてありがとうございました。それと、ごめんなさい。僕のせいでアルナさんも試合棄権させちゃって……」


 大分経ってしまったがようやく言えたお礼と謝罪をした。


「ウィリアムさんが無事でよかったです」


「私は強いと人戦えればよかったから全然気にしてないから平気だよ! あの後ナツキとも戦ったしね!」


 アルナさんは笑顔を夏樹に向ける。夏樹は悔しいそうな表情になる。どうやら夏樹が負けたようだ。


「次はぜってぇ勝つからな……!」


「いつでも挑戦するがいい わっはは!」


 アルナさんは勝利したことに相当嬉しかったようで高笑いをする。

 その時、後ろに隠れているルキに背中をツンツンされた。


「どうした?」


「このひとたち、へいき?」


「うん。僕の友人だから平気だよ。あっちの笑っているのがアルナさんで、もう一人がアイリスさんだよ」


 ルキは僕の言葉を聞くとベッドから降り二人の下に歩いて行き見上げる。


「この子ってウィルと一緒にいた子供だよねアイリス?」


「そうだと思うけど……」


 ルキにじーっと見られおどおどする二人。その様子をみて夏樹は笑いを堪えている。


「アナ! アイ!」


 ルキは指さしながらアルナさんをアナと言い、アイリスさんをアイと楽しそうに呼ぶ。 


「アナって私の事? 君の名前は?」


 膝を折りルキと同じ目線でアルナさんが聞く。


「ルキ!」


「ルキ……ちゃん? くん? ウィルこの子の性別は?」


 中性的な顔立ちで分からないようだ。


「女の子」


「じゃあルキちゃんだね。よろしくね!」


「私もよろしくお願いしますルキちゃん」


「うん!」


 ルキの手を取りアルナさんと一緒にぐるぐると回り、それに巻き込まれ夏樹とアイリスさんも参加した。僕はその光景をスクショしながら見守った。



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