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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第77話

「こちらの部屋は自由に使ってもよろしいので私はこれで。出て行く際は一言受付までお願いします」


 受付嬢は一礼してから部屋を出て行く。

 僕は言葉に甘えて部屋に残りステータスを確認した。


「ウィル? 何してるの? いっぱいの数字だね!」


「え……ステータス見れるの?」


「うん!」


 ステータスは他人からは決して見れないようになっているのだが何故かルキには見えているらしい。

 週末メフィストに会いに行って色々聞こうとは思うけど、話せないってオチで終わりそうな気がするんだよな。まぁ、その時はその時だ。


「見ててもつまんないから、召喚獣達と――」


「ウィルと居る!」


「ルキがいいならいいけど……」


 ルキは胡坐を組んだ膝の上にちょこんと座る。

 そんなルキの頭を撫でながら改めてステータスを確認した。 


 ジョブは召喚士見習いから召喚士に変わっていた。夏樹みたいにちょっと変わっていればいいのになと少し思っていたので残念な気持ちになる。

 気を取り直して続きを確認。

 見習いの制限が無くなってフィールドまたはダンジョンでは二体まで召喚出来て、召喚する際の消費するMPは半分で済むようになった。

 二体か……戦略の幅が広がったのはいいけど、四体召喚出来るのはまだ先か。僕はステータスに新たに追加された熟練度の項目を見ながら思った。


 夏樹から簡単に説明してもらったのだが熟練度を上げるには敵モンスターを倒した時に得られる経験値が変換され熟練値になる。それを最大値まで上げ切ることでジョブチェンジのクエが受けれるようになる。

 ちなみに最大値は50までになっており、レベルをカンストさせるのと同じぐらい熟練値が必要らしい。急ぎでもないし気長にやろう。


「おわった?」


 他に変化もなく確認が終わったタイミングでルキが尋ねてくる。


「終わったよ。夏樹待ってるし行こうか」


「うん!」


 立ち上がり外に向かって歩き出すとルキは僕の右手を握ってくる。握り返し部屋を出て行き夏樹が待ってるところに向かうと何故か夏樹は抜刀していて、数人のプレイヤーが倒れていた。どういう状況だこれ?呆れながら夏樹に近づく。


「夏樹、なにがあったの?」


「お。お帰り兄貴、ルキ。どうだった?」


「え、えっと無事達成したけど」


「おめでとう兄貴!」


 夏樹は手の平を向けてくる。僕も手を差し出すとハイタッチされた。


「ルキもやる!」


 何故ルキも加わりハイタッチをする。なんだこれ。


「おい! よくも俺様の部下たちをやってくらたな!」


 大声で怒鳴りつける人が現れ視線を向けるとそこには世紀末でヒャッハーしてそうな見た目の大男だった。


「はぁ? こいつらが兄貴の悪口を言ってたの悪いだろうが!」


 夏樹の一言でなんとなく状況を理解した僕は思わず深い溜息を吐いてしまう。


「兄貴、決着ついたしこいつら無視して行こうぜ」


 夏樹はスタスタとギルドの外に向かう。僕は一礼してから夏樹の後を追う。


「きゃっ!」


「おい、お前ら! こいつがどうなってもいいんだな!」


 大男はルキの手を掴み僕達に見せる。ルキは苦痛表情をしている。


「あんにゃろ! 卑怯な手を! 兄貴?」


「夏樹」


 僕が名前を呼ぶと夏樹はびくっとなりゆっくり振り返り僕の表情を見るなりすっと後ろに下がる。

 僕は大男の前にでる。


「ルキを離してくれませんか? 痛がっている表情見えないんですが?」


「俺様と戦って勝てば離してやるよ! お前が勝つ訳ないけどな!」


 目の前にウィンドウ画面が現れ僕は対人戦を承諾した。

 すると、僕と大男を中心に二十メートル×二十メートルの範囲に赤い線が引かれ部外者ははじき出された。

 受付嬢たちは迷惑そうにしているが、プレイヤーたちは盛り上がっている。

 ルキは上空に透明な球体に囚われる。不安そうにルキは見下ろしている。待ってろ今すぐ解放した上げるからな。


「ルールはHPを全損させた方が負けだ! お前が勝てばあいつを返してやるよ! 負ければお前の全てを貰う!」


 ルールを追加されたが問題ないな。全力で挑むだけだ。大男は柄の長い大斧を振ります。

 またパワータイプか。なら、素早さと攻撃力で圧倒するまでだ。


「俺様はこう見えて熟練度を10まで上げている! お前が勝てるようそなんざねぇーよ!」


 大男の言葉を聞き流して僕は二体を順番に召喚する。


「来い、スザク!」


「ピィイイ!」


 鳩ぐらいの大きさだったスザクは、翼を広げると鷲と同じくらいの大きい姿になっていた。

 召喚すると僕の右肩に止まるが重いし、爪がいたんだが。


「召喚士如き俺様に勝てねーよ!」


 大男は大斧を振り上げ向かってくる。

 僕は慌ててセイリュウも召喚しよとするとスザクの体が赤く光りだす。


「ピィイイーーー!!」


 スザクは翼を広げると上空に今までに見たことがない特大の火球を作り出す。


「な、な、なんだ、それは!?」


 大男は火球に怯み足を止める。スザクはそんな隙を見逃さず火球を放ち、着弾した瞬間、大爆発を起こした。大男のHPは一瞬にしてゼロになったしまう。


「ピィイイ!」


 勝利を宣言するようにスザクは鳴きギルド内に響き渡った。


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