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バグから始まるVRMMO活動記  作者: 紙紙紙
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第7話

 連休三日目、僕はギルドに来ていた。


 あの後の事を簡単に説明しよう。

 オーガを倒した後、ドロップアイテムを回収すると人の気配を察知したビャッコにローブを咥えられひょいっと背中に。

 そして、脱兎のごとくその場を去り、森を抜け、まだ来たことがない山の麓まで移動。

 着いたのと同時に時間が来たのかビャッコは元の姿に戻りいつものつぶらな瞳に可愛らしい容姿に戻って僕は安堵した。


 その後、周囲に人と敵モンスターがいないのを確かめてから転移結晶でファルトリアに戻りそのままログアウトした。


 そして、ビャッコに起きた一時覚醒に関することを探したがどこにも載っていなかった。ただ、気になる記事を見つけた。

 一部の召喚獣はプレイヤーのジョブが上位ジョブにジョブチェンジすると進化するらしい。てことは、一時覚醒はその進化を条件無視して一時的に進化したってことなのかな? でも、一時覚醒には本来の姿って書いてあった。元々が大きい姿で僕がジョブチェンジすれば本来の力を取り戻すってことの方が納得できるな。って推測して僕は寝た。


 で、冒頭に戻るけど。

 ギルドに来た理由はオーガ以外のドロップアイテムの換金と、昨日のオーガ戦のことで噂になっているかを確かめにきたのだが、まぁ予想通りギルド内ではその噂で賑わっていた。

 幸い、個人を特定するような噂は無かったが、白い獣を見た人がいたらしく召喚士や従魔士などのモンスターと共に戦うジョブの人を中心に聞き回っているそうだ。


 ちなみに召喚獣と従魔士は似て非なるもの。

 召喚士はランダムで召喚された召喚獣と共に戦うジョブ。

 従魔士は敵モンスターを倒すことで低確率で手に入るエッグというアイテムを手に入れれば倒した敵モンスターを仲間にすることが出来るジョブ。

 特定の条件は各敵モンスターごとに変わるし、難易度は高い。召喚士よりはか人数は少ない。


 話を戻して、僕は噂が落ち着くまでビャッコを人前で召喚するのは控えることにした。あくまでも人前でだ。召喚しない選択肢はない。ビャッコが可哀想だからだ。


 で、現在はスザクを召喚している。召喚したらすぐに右肩に止まった。どうやらそこが定位置みたいだ。

 


「ねぇ君、その鳥可愛いね! 君の召喚獣?」


 換金し終わり椅子に座りながら耳を傾けていると、僕より背が高く、灰色の髪で活発そうな女性が話しかけてくる。よく見たら耳が生えている。獣人族のようだ。


「はい。ジャッククラスのファイアーバードって言う召喚獣です」

 

 基本プレイヤーの情報は他のプレイヤーからは見れない。その仕様を使いクラスを偽ることにした。面倒ごとは出来るだけ避けたい。

 スザクを召喚したのはその為だ。


「そうなんだ。その子、撫でてもいい?」


「撫でるのは構わないですけど、優しくお願いしますね?」


「わかってる。あ、私はアルナね。ジョブは格闘士でレベルは50だよ!」


 スザクを撫でながら自己紹介するアルナさんに僕も答える。


「ウィリアムです。召喚士見習いで、レベルはまだ10です」


「ウィルだね。レベル10ってことは始めたばっかだね。ゲーム楽しんでる?」


 アルナさんに言われ思い返す。

 いきなりレベル50のオーガと戦ったのは予想外だったが、それ込みで僕はこのゲームを始めたばかりだけど楽しいと思っている。


「はい、楽しんでいます。それよりも名前……」


「えーダメ?」


「ダメ……じゃないですけど……」


「アルナー! ここにいたのね。待ち合わせ場所にいないから探したよ……ってこの子はどなたですか?」

 

 アルナさんと話していると明るめなロングな茶髪に穏やかそうな女性が歩いてきた。長めな耳……てことは、この女性は種族はエルフ族か。

 スザクから手を離しアルナさんが言う。


「この子はウィルだよ。召喚士見習いでまだレベル10だよ!」


 何故かアンナさんに紹介されてしまった。


「えっと、ウィリアムです。肩に止まっているのが僕の召喚獣のフレイムバードです」


「ウィリアムさんですね。私はアルナと一緒のクランに所属していますアイリスです。よろしくお願いします」


「アイリスはね、サブリーダーもしてるんだよ~凄いんだよ~」


「誰もやりたがらなかったから仕方なく……。それよりもアルナも受けなくっていいの? ジョブクエスト」


「あ、忘れてた! 行ってくる!」


 そう言ってアルナさんは人波を掻き分け受付に向かうのだった。

 残された僕とアイリスさんの間に少し沈黙があったが、アイリスさんが先に口を開く。


「あの、ウィリアムさんはアルナとお知り合いなんですか?」


「いえ、さっき会ったばかりです。ここで座っていたらこの子を撫でたいと言われて」


「そんなことがあったんですね。うちのアルナがすいません……」


 アイリスさんが頭を下げる。


「いえいえ、大丈夫ですよ。アイリスさんも撫でてみます?」


「え! いいんですか!?」


 意外なほどの食いつきように僕は若干引いてしまった。


「ど、どうぞ」


 アイリスさんは僕の肩に止まっているスザクにゆっくり手を伸ばし、慎重に優しく撫で始める。

 

「可愛い……!」


「チュン!」


 スザクは僕の肩からアイリスさんの指に飛び移り撫でられさらに嬉しそうにしている。

 しばらくするとアルナさんが嬉しそうにしながらスキップで帰って来た。


 

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